ドイツ各地で、女性もトップレスで泳ぐことを認める公営プールが続出している。こうした変化に独社会が一定の理解を示す背景には、ドイツ独自の「ヌード文化」があるとみられる。

 前編 男女の胸を「平等に」 ドイツで“トップレス”容認プールが広がる理由 では、トップレスを認めるよう求めた女性の訴えから、ジェンダーと身体の関係について考えます。

 ドイツでは男女混浴のサウナに全裸で入ることは一般的で、自然の中で日光浴をしたり、泳いだりする際にトップレスの女性を見かけることもある。欧州メディアが「ドイツ人はなぜ人前で裸になるのが好きなのか」(英BBC)と取り上げるほどだ。この「裸」に寛容な文化を考えるうえで欠かせないのが、「フライ・ケルパー・クルトゥア(FKK)」という運動だ。ヌーディズムを意味するドイツ語で、直訳すると「自由身体文化」となる。

 ドイツの近代文化史に詳しいベルリン自由大学のアルント・バウアーケンパー教授(歴史学)によると、「ヌード」は19世紀後半、「生活改革運動」の一環として生まれた。1892年に北部ハンブルクでコレラが大流行するなど、工業化によって人口が増加した都市部では、劣悪な労働環境や不健康な生活環境が深刻化した。

 そうした状況を受け、自然の中での健康的な生活や、裸での日光浴・水泳の効能を提唱する改革運動としてFKKが広まったという。

 第一次大戦後、ナチスはFKKを禁止した。しかし、親衛隊の最高指導者ハインリヒ・ヒムラーは後にFKK容認に転じた。バウアーケンパー氏は「ナ…(以下有料版で,残り1186文字)

毎日新聞 2023/7/17 16:00(最終更新 7/17 16:00) 有料記事 1834文字
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