【ワシントン=赤木俊介】米航空宇宙局(NASA)ゴダード宇宙科学研究所のギャビン・シュミット氏は20日、記者会見で世界の平均気温が「7月としては数百年、数千年ぶりの暑さを記録する可能性がある」と述べた。シュミット氏は「(異常気象の原因とされる)エルニーニョは発生したばかりで、主因ではない」と説明した。

NASAは同局の気候変動に関する分析や試みを紹介するため、会見を開いた。NASAのビル・ネルソン長官は会見で「NASAは航空宇宙技術の研究機関として知られているが、気象機関でもある」と話し、異常気象や気候変動の研究におけるNASAの役割を強調した。

世界の平均気温については、各国の調査データなどを参照し、歴史的な変化の推移を捕捉しているとみられる。

米国では7月20日時点、およそ1億2300万人以上が猛暑警報の対象となっている。南部フロリダ州周辺の海面水温も7月に入りセ氏32度以上となった。シュミット氏は「世界中で前例のない変化が生じている」と警鐘を鳴らし、「(平均気温が上がるにつれ)降雨量も増えるだろう」と分析した。

日本経済新聞 2023年7月21日 7:05
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