韓国経済が窮地だ。複数の国際機関の調査で、家計の負債の比率が調査対象となった国・地域の中で最も高く、将来的な潜在成長率は最下位だったという。新型コロナウイルスの感染者数は増え、「オミクロン株」の市中感染も深刻だ。文在寅(ムン・ジェイン)政権は国民の不満をガス抜きするため、「反日行動」をさらに強めることも懸念される。

複数の韓国メディアによると、国際金融協会(IIF)がまとめた世界の負債に関する報告書で、4〜6月期時点の韓国の家計負債は国内総生産(GDP)比104・2%と、調査対象の37カ国・地域中最も高かったという。香港の92・0%や、英国の89・4%を引き離した「家計借金大国」ということになる。

韓国では、借金をしてまで株式や不動産へ投機する国民も多く、6月末時点で家計債務が1806兆ウォン(約181兆円)と過去最高を更新したと韓国銀行(中央銀行)が発表した。金融当局はカード会社などに融資額の管理強化を求めたが、歯止めがかからない。

朝鮮近現代史研究所所長の松木國俊氏は「融資を一気に止めてしまえばさらなる不況に陥り、放置してもお金は個人消費ではなく不動産などの投機に回ってしまうため、経済的に不健全な状況が続く。韓銀は相当厳しいかじ取りを迫られているが、現在の不況は構造上の問題であって、処方箋があるとは思えない」と指摘した。

将来的な経済成長にも不安が募る。経済協力開発機構(OECD)が発表した報告書「2060年までの財政展望」では、30〜60年の同国の1人当たりの潜在GDP成長率が0・8%と試算された。これはOECD加盟38カ国中で最下位。日本はOECD平均と同水準の1・1%だった。

希望の持てない経済に追い打ちをかけるのが、新型コロナの感染状況だ。聯合ニュースによると、6日午前0時時点の新規感染者は4325人と、月曜日の発表として初めて4000人を上回った。オミクロン株の感染者も24人に増えた。政府は制限の緩和を停止するなど防疫対策を強化した。

韓国の世論調査会社、リアルメーターが6日発表によると、来年3月の大統領選候補の支持率は、与党「共に民主党」の李在明(イ・ジェミョン)前京畿道(キョンギド)知事が37・5%で、野党「国民の力」の尹錫悦(ユン・ソンヨル)前検事総長(44・0%)にリードを許している。文大統領の支持率も40・5%で、不支持率(56・8%)が上回る。

11月16日には、韓国が不法占拠している島根県の竹島に同国の警察庁長官が上陸した。日本側は当然ながら猛抗議し、日米間の外務次官協議後の共同記者会見は行われなかった。韓国側が3カ国の協調を乱した形だが、このタイミングでの反日行動をどうみるか。

前出の松木氏は「国民の不満を受け止めきれない韓国政府は、反日行動によって目をそらそうとしているのは明らかだ。それだけ政権与党が追い込まれているということだが、大統領選まで、反日による『愛国精神』か、融和の『売国精神』かを国民に問い、反日行動を今後も繰り広げるだろう」と予測した。

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