◆将来の雇用「改善」は9.8%「悲観」は半数以上
政府と国民の認識には大きな隔たりがあるようだ。韓国の世論調査専門機関「エムブレイン・パブリック」が会社員を対象に実施したアンケート結果が、地元メディアで報じられている。

アンケートは20代から50代までの会社員1000人に「今後の若者の雇用状況」についての質問だった。その結果、「非常に悪くなる」は14.3%、「悪くなる」は39.2%と悲観的な見通しが半数以上の53.5%を占めた。「今と変わらない」は36.7%。「改善される」と期待したのは、わずか9.8%だった。

アンケート結果と対照的に、政府は韓国経済の成長を強調している。国民1人当たりの名目GDPや年間の平均賃金は「日本を抜いた」と声高に叫び、成長率も日本を大幅に上回っていると主張。新型コロナウイルス感染拡大による打撃から回復し、将来の見通しも明るいなどと語っている。

だが、アンケートでは将来の雇用を悲観する割合が高かった。また、「現政権が若者向けの政策を実施しているか」を問うものにも、73.7%が「実施していない」と回答している。3月には大統領選挙が控えているが、新しい政権になっても「期待できない」と悲観的な答えは61.2%に上った。

◆政府と国民に温度差 就職断念する大学生
今回のアンケートは決して特殊な傾向ではない。政府は新型コロナまん延前の水準まで雇用が回復していると政策の成果を発信している。ところが、雇用が増えているのは非正規の割合が圧倒的に高く、若者が望む雇用形態や職種ではない。実際、2021年に韓国経済研究院が行った調査では、大学生の3人に2人近い65.3%が就職をあきらめたという結果が出ている。

韓国の雇用や経済は、政府が強調するほど展望が明るいようには見えない。政府は国民との温度差が明確に表れているアンケート結果を、どのように感じているのだろうか。

https://borderless-news.com/society/2918/