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本物の仏像(右)とレプリカが並べて展示されている=2022年1月29日、和歌山市吹上1丁目、国方萌乃撮影

 地域で大切に守られてきた仏像とその歴史を紹介する企画展「仏像は地域とともに」が29日、和歌山県立博物館(和歌山市吹上1丁目)で始まった。県内の寺社にまつられている仏像など81点が並ぶ。3月6日まで。

 展示では、有田川町の法福寺に伝わる「観音菩薩立像(かんのんぼさつりゅうぞう)」とそのエピソードが紹介されている。平安時代の作で、元々は法福寺から約3キロ離れた別の寺にまつられていたという。明治時代にその寺が廃寺となり、地域住民の手で法福寺に移され、大切に引き継がれてきた様子がうかがえる。

 博物館は、仏像を盗難から守るため、レプリカを作って本物と置き換える活動に取り組んでいてレプリカの仏像も並ぶ。レプリカは県立和歌山工業高校の生徒が3Dプリンターで造形を作り、和歌山大学の生徒がアクリル絵の具で装飾している。展示では、本物とレプリカが並べて置かれていて、そっくりで見分けがつかないほどの出来栄えだ。

 仏像の盗難被害の背景には、地域住民の高齢化で寺社の日常的な管理が難しくなっていることがある。博物館の大河内智之・主任学芸員は「人口減が進み、仏像の管理がさらに難しくなる。展示を通じて、地域に引き継がれてきた仏像を今後どう守っていくのか考えてみてほしい」と話す。(国方萌乃)

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