小泉純一郎、菅直人両氏ら5人の首相経験者が、東京電力福島第1原発事故の影響で、福島県で多くの子供たちが甲状腺がんに苦しんでいるとの書簡をEU(欧州連合)欧州委員会に送った問題で、環境省は先週末、「風評払拭に係る環境省の考え」という文書を公開した。元首相5人による逆抗議・質問状への回答であり、事実上、「怒りの再警告」といえそうだ。

山口壮環境相は1日、小泉、菅、細川護熙、村山富市、鳩山由紀夫の元首相5人の書簡を問題視し、「放射線被爆と子供の甲状腺がんの関連は認められていない」と抗議した。

これに対し、5人は「脱原発」運動に取り組む市民団体を通じて逆抗議したうえで、「この10年で266人に甲状腺がんが発症した原因は何だと主張・立証するのか」などと質問していた。

環境省が10日、ホームページ上で公開した文書は、再抗議・質問状への回答といえる。

これによると、福島県での甲状腺がんについて、「国内外の専門家会議により、現時点では放射線の影響とは考えにくいという評価がされている」と指摘し、根拠となる国連放射線影響科学委員会(UNSCEAR)の報告書などのURLを参考に添付した。

そのうえで、「環境省は福島県の子供たちに寄り添い、放射線の健康影響に関する差別・偏見の払拭に取り組み、多様な不安に応える事業を行っている」と発信した。

言外に「元首相が、いわれなき差別・偏見を助長するな」という怒りが感じられる。

元首相5人は、福島県の内堀雅雄知事からの抗議にも同様の逆抗議・質問状を送りつけており、15日を期限に回答を求めている。

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