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 昨秋の衆院選比例代表で362万票余りが投じられた「民主党」という略称をどちらが名乗るかを巡り、立憲民主党と国民民主党が綱引きを始めている。今夏の参院選立候補予定者らから党幹部に譲歩しないよう求める声が出ており、「本家争い」に発展しかねない様相だ。

◆「友好的に話し合う」でも…
 政党の略称は公職選挙法で総務省に事前に届け出るように定められている。立民は2017年の結党時に民主党としたが、19年の参院選で、有権者に浸透しているという理由から「りっけん」に変更。20年に国民の一部と合流した際に「民主党」に戻した。

 18年に結党した国民は19年の参院選から民主党を使用。立民関係者は「意図せず同じ略称になった」と釈明するが、昨年10月の衆院選では、大量の「民主党」票が発生。立民、国民各党の有効票に応じて立民に約295万票、国民に約66万票が振り分けられた。全体で立民は約1149万票、国民は約259万票を獲得した。

 両党は今年に入り、「有権者が混乱する」として是正策を協議。それを受け、立民の西村智奈美幹事長は今月7日の党会合で「民主党」を略称としている党規約の該当部分の削除を提案した。だが、改選を控える参院議員らから「旧民主党時代から親しみがある」などと反発が相次ぎ、いったん取り下げた。

 国民の榛葉賀津也幹事長は18日の記者会見で「立民とは友好的に話し合いたい」と、民主党という略称にはこだわらない考えを示した。一方で「われわれが本家」と主張するのも忘れなかった。

 参院選の略称届け出期間は4月下旬〜5月上旬で、立民幹部は「状況を見極めたい」と、当面は党内の反応を探る構え。だが、国民が22年度当初予算案に賛成したことで野党間の溝は深まっており、両党の調整が難航する可能性も高まっている。(市川千晴)

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