https://jp.techcrunch.com/wp-content/uploads/2022/03/launch.jpeg?w=738ロシアと米国の間で(他の国はいうに及ばず)緊張が高まる中、ロシアの国営宇宙機関Roscosmos(ロスコスモス)は米国へのロケットエンジンの出荷を停止すると発表した。Roscosmoを率いるDmitry Rogozin(ドミトリー・ロゴージン)氏は、国営放送でこう述べた。「何か他のもの、自分たちのほうきにでも乗せて飛ばせばいい、何になるかは知らないがね」。幸いなことに、我々にはほうきよりも良い方法がある。

今回影響を受ける2つのロシア製エンジンは、ULA(United Launch Alliance)のAtlas V(アトラスV)やAntares(アンタレス)ロケットの主推力として20年間使われてきた信頼性の高い強力なエンジンだ。しかし、ここ数年、AtlasとAntaresの打ち上げ、特に90年代に開発されたエンジンを使った打ち上げは、打ち上げ量と能力において非常に少数派になっていることは、ご存じのとおりだ。

長い時間軸を持つ産業に属するということは、このような事態に前もって備えるということであり、米国はかなり以前からロシアのハードウェアへの依存度を下げる努力をしてきた。具体的には、ULAは2018年に、次世代ロケットVulcan(ヴァルカン)のために、ロシアのRD-180エンジンの代替品を開発するようBlue Origin(ブルーオリジン)に依頼した。

このBE-4エンジンはまだ準備が整っていないが(Blue Originが実証した宇宙旅行フライトは、打ち上げプロファイルがまったく異なる)、ULAのトップであるTory Bruno(トリー・ブルーノ)氏は、The VergeのLoren Grush(ローレン・グラッシュ)氏に対し、ULAはその方向に向かっており、何にしろ移行期間を乗り切るのに必要なRD-180を十分に持っていると語った(同組織にコメントを求めたので、返答が得られたら更新する)。Northrop Grumman(ノースロップ・グラマン)は、今後数年間、RD-181(同じく禁輸となった)を使用するCygnus(シグナス)の飛行を計画していたため、より大きな影響を受けるかもしれない。

しかし、米国のレガシーロケットプロバイダーの備えよりも重要なのは、新しいロケットプロバイダーの急増だ。もちろんSpaceX(スペースX)は誰もが知っているし、Rocket Lab(ロケット・ラブ)も急速にお馴染みの社名になりつつある(あなたの家庭が軌道サービス産業に隣接している場合)。しかし2022年は、Relativityの「Terran 1」3Dプリントロケットの初飛行も見られるだろうし、Astra(アストラ)などの新興企業は、迅速、頻繁かつシンプルな打ち上げを行うことでコストを最低限に抑えようとしている。

さらに、米国政府はハイプロファイルで機密性の高いミッションに、こうしたより新しい商業打ち上げ業者を利用することに急速に抵抗がなくなってきている。国家偵察局(NRO)や国防総省が最新のスパイ衛星を民間のロケットでは軌道に乗せない、あるいは乗せられないという時代は終わりを告げようとしているのだ。