自民党は、13日投開票の石川県知事選で馳浩・元文部科学相が「保守系三つどもえ」の混戦を制して初当選したことを歓迎している。党としては自主投票だったが、多くの党幹部らが馳氏の支援に回ったためだ。

 岸田首相(党総裁)は14日朝、馳氏と電話し、「大変な選挙をよく戦い抜いた。何かあったら、いつでも言ってほしい」とねぎらった。

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安倍元首相(左から2人目)と気勢を上げる馳氏(4日、金沢市で)=細野登撮影

 自民県議らの支持が保守系3候補で分裂する一方、与党内に人脈が広い馳氏の応援には、選挙期間中、高市政調会長ら党幹部を含めて多くの所属議員が駆けつけた。

 特に、馳氏が所属した最大派閥の安倍派は、支援に総力を挙げ、会長の安倍元首相も現地入りして保守票を固めることに力を注いだ。

 自民と歩調を合わせて自主投票だった公明党も馳氏の支援に回ったとみられ、選挙期間中、同派は「ほぼすべての自民、公明党の先生が馳氏を支援している」(事務総長の西村康稔・前経済再生相)と強調した。

 馳氏の出馬表明後、同派からは山田修路・前参院議員が安倍氏の制止を振り切って立候補した。党内には「安倍派のグリップが効いていない」との不満もあっただけに、馳氏の当選で同派は体面を保った格好だ。

 山田氏は立憲民主党県連の推薦を得たが、得票数は馳氏、山野之義・前金沢市長に次いで3位だった。2月の長崎県知事選でも立民県連が支持した現職が敗北している。石川、長崎両県知事選でいずれも推薦した候補が勝利した日本維新の会からは「立民がついた方が負ける」(幹部)との声が出ている。

 両県知事選は、いずれも保守分裂の選挙となっており、今後は参院選に向けて、それぞれ自民県連内のしこりの解消が課題となりそうだ。

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