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花を付けたクロチク(黒竹)=佐賀県神埼市千代田町で2022年4月19日、西脇真一撮影

 佐賀県神埼市千代田町の山田照彦さん(69)方で竹の一種クロチク(黒竹)が花を咲かせている。専門家によるとクロチクの開花は120年に1度と言われ、山田さんと妻明美さん(69)も「めったにないことだ」と驚いている。

 山田さん夫妻が、庭造りのためにクロチクを植えたのは約30年前。当時は高さ2メートルほどだったが、今では4〜5メートル、約10平方メートルの竹林に成長した。半月ほど前に山田さんが庭を見回っていて花に気づいた。

 竹はイネ科に属し、おしべが飛び出しイネが開花した状態に似ている。

 山田さんは「珍しいのでうれしい半面、言われているように枯れてしまうのかと思うとちょっと残念だ」と、クロタケを見上げた。

 竹の生態を研究する東京大学大学院農学生命科学研究科の久本洋子助教によると、クロタケは日本で一般的なハチク(淡竹)の仲間で、木の幹にあたる稈(かん)が黒く、見た目が良いことから庭園などに植えられる。

 竹の開花メカニズムはまだよく分かっていないといい、久本さんは「クロチクが咲くのは120年に1度と言われ、不思議なことに花を付けても種はできない」と言う。

 数年前からクロチクの開花情報が各地から寄せられており「開花期に入っているようだ。もしかしたら国内で同じ株が流通した可能性もある」と見る。

 久本さんは「竹は花が終わると地上部分は一気に枯れてしまうので不吉とされる所もあるが、逆に吉兆と受け止められている地域もある。ただ、クロチクの場合は枯れ切らず、一部の地下茎が生き残り竹林として復活すると思う」と話している。【西脇真一】

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