日本維新の会と国民民主党が20日、夏の参院選の静岡、京都の両選挙区(いずれも改選数2)で、それぞれの擁立候補を「相互推薦」することで合意した。野党共闘の新たな枠組みが選挙戦に影響を与えるのは必至。予想される公示まで2カ月と迫る中、静岡選挙区の対応方針が定まっていない立憲民主党には動揺が広がる。

 ■期待

 「静岡は維新の票が出るところ。一緒に汗をかけてうれしい」。国民の榛葉賀津也幹事長(静岡県連会長)は同日の記者会見で、国民が推薦する無所属現職を維新が支援する効果に期待した。維新は躍進した昨年の衆院選で、国民を上回る県内の比例票を獲得している。

 維新は最重点区に位置づける京都で国民の協力を得るのと引き替えに、組織力が弱い静岡で独自候補擁立の旗を降ろした。馬場伸幸共同代表は「静岡でなぜ比例票をたくさんいただいたのかを学びたい」と述べた。

 相互推薦には、2019年参院選静岡選挙区を巡る因縁が絡んでいるとの見方もある。当時、国民の公認候補だった榛葉氏は、立民幹事長だった福山哲郎氏ら執行部から「刺客」を送り込まれた。夏の参院選は福山氏が京都選挙区に出馬する。立民県連関係者は「3年前の意趣返し」とみる。

 ■距離感

 維新、国民両党の共闘は国政、地方選を通じて異例だ。課題は国民の支持母体・連合と維新の距離感。国民は連合本部の芳野友子会長や連合静岡の中西清文会長に相互推薦を事前に説明し「異論はなかった」(前原誠司代表代行)とするが、連合と維新の地方組織に接点はない。県内の維新関係者からは早くも「党本部に『やれ』と言われて『そうですか』とはなかなかならない」と戸惑いの声が漏れる。

 ■波紋

 立民県連は独自候補を擁立するか、自主投票にするかの判断を党本部に一任している。ある党幹部は「静岡単体ではなく、ほかの選挙区とパッケージで考えねばならない。ぎりぎりのところで結論が止まっている」と明かす。党本部から明確な回答が示されないまま、国民、維新の連携が表面化し、立民県連に波紋を呼んでいる。幹部は「独自候補を立てれば国民や連合と新たな遺恨になり、立てなくても支持者からは『どうなっているんだ』と言われる」と苦しい胸の内を吐露した。

https://www.at-s.com/news/article/shizuoka/1056616.html