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航空機を間近で鑑賞できるスポットとして人気が集まる千里川土手=大阪府豊中市(彦野公太朗撮影)

豊中市が公園として整備する原田緩衝緑地
航空機を間近に見られる場所として注目を集める大阪(伊丹)空港近くの千里川土手(大阪府豊中市)。世界最大級の米旅行サイト、トリップアドバイザーで高評価を獲得した世界も注目のスポットを観光資源として生かそうと、同市は土手周辺に広がる緑地を公園として整備する方針を発表した。かつて騒音問題などが課題だった大阪空港だが、空港を活用した活性化への動きといえそうだ。ただ、近隣住民からは住環境への懸念を指摘する声もあがる。

口コミで注目

4月の日曜日の昼下がり、千里川土手を訪ねると、約100人ものファンらでにぎわっていた。同府摂津市の男性(55)と妻(52)は「インターネットで話題になっていると聞いて訪れた。着陸間際の飛行機はスピードを落としているのでしっかりと見られて迫力がありますね」と話していた。

「次の着陸は中型機です。風圧に気をつけてください」とボランティアの女性が案内すると、人々はスマートフォンや一眼レフのカメラを片手に航空機を待ち構える。ゆっくりと近づいてきた機体が轟音(ごうおん)を響かせながら頭上を通過する大迫力に、動画で撮影したり、何度もシャッターを切ったりしていた。

子供の頃から千里川で撮影していたという同府池田市の男性公務員(55)は「こんなに滑走路が近い都市型空港は、世界中を探してもない。スマートフォンやSNSの発達で、急に人が増えてきた」と話す。

この男性によると、平成6年に関西国際空港が開港し、大阪空港の国際線がなくなった際には訪れる人は減っていたが、最近になって再び増えてきたという。

一つには、ネットでの口コミなどがありそうだ。トリップアドバイザーは2019年、高評価の口コミを継続的に獲得した場所として推奨する「エクセレンス認証」に、千里川土手を加えた。世界に発信されるスポットとして知られるようになった。

共存象徴の場

こうした状況に、地元自治体も本格的に動き出す。千里川土手は府が管理する土地だが、豊中市は千里川土手に隣接する原田緩衝緑地(仮称、約6ヘクタール)を都市公園として整備する方針を打ち出した。