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衆院予算委員会で質問する立憲民主党の泉健太代表(手前)=26日午後、国会内

 予想される参院選公示を約1カ月後に控えた国会最終盤の26日、立憲民主党の泉健太代表が衆院予算委員会に出席し、岸田文雄首相との党首対決に臨んだ。泉氏が国民生活を直撃する物価高への政府対応は不十分だとして追及を強めると、首相も声を荒らげるなど「聞く力」を封印して対抗。議論は平行線をたどり、泉氏の追及は不発に終わった。

 「補正予算として少なすぎる。小さすぎる」。泉氏は2022年度補正予算案の規模が物価高で疲弊する国民生活を支えるには不十分だと批判。さらに「物価高を止める意味では金利を少し引き上げることも選択肢に入れるべきだ」と促した。

 26日の予算委は参院選前に野党が岸田政権を追及する貴重な舞台となるはずだった。実際、今国会では行われていない党首討論の代わりとばかりに泉氏が登場。反転攻勢を狙った。

 一方、意識したのは首相も同じ。泉氏の提案は金利引き上げによる「アベノミクス」からの転換を意味したもので、首相は「(日銀には)引き続き2%の物価安定目標の持続的、安定的な実現へ努力することを期待したい」などとかわした。

 政権発足当初の首相は、委員会で野党の質問に熱心に耳を傾け、メモを取る姿も目立ったが、この日は泉氏の主張を取り入れなかった。泉氏にとっては「見せ場」をつくれなかった形だ。

 質疑終了後、泉氏は記者団に「政府には生活目線が全く抜け落ちている」と力説。「聞く力を売りにしていた首相だが、安倍晋三元首相の言うことを聞く力だと強く感じさせた質疑だった」と皮肉ってみせるのが精いっぱいだった。

 泉氏は6月1日の衆院予算委集中審議にも出席し、首相と今国会最後の論戦に臨む予定だが、26日と同様の展開となれば立民内に失望が広がりかねない。立民幹部の一人は「まだまだ首相との向き合い方が足りない」と語った。

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