【ソウル=時吉達也】与党が大勝する見通しとなった参院選について、韓国メディアは10日、安倍晋三元首相の死去で「自民党に『同情票』が集まった」(中央日報・電子版)などと速報した。与党が基盤を固めたことで日韓関係改善に向けた協議の加速に期待もあるが、支持率低下に苦しむ尹錫悦(ユン・ソンニョル)政権が積極外交に乗り出せるかは不透明だ。

韓国では5月、文在寅(ムン・ジェイン)前政権の対日政策を「外交関係が失われた」と批判してきた尹氏が大統領に就任。政権発足前から政策協議団を日本に派遣するなど関係改善に意欲を示す中、与党関係者は「世論の反発を招く恐れもある。具体的な協議は韓国の統一地方選と、日本の参院選の後になる」との見通しを示してきた。

韓国与党が圧勝した6月の統一地方選に続き、参院選も自公が大勝。訪日団メンバーの朴喆熙(パク・チョルヒ)ソウル大教授は「日本の政権与党が確固とした基盤を築くことに、韓国のマイナスは一つもない」と歓迎する。

ただ、尹政権は与党内の内紛などで、発足2カ月で支持率が「不支持」を下回った。日韓の最大懸案であるいわゆる徴用工訴訟問題では官民協議体を発足させ解決案策定を急ぐが、今月4日の初会合では政府への不信を強めた原告関係者が出席をボイコット。対日協議の前に世論をまとめられるのか見通せない状況だ。

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