静岡県内でエアコンの生産が本格化している。新型コロナウイルス禍での半導体不足や中国・上海のロックダウン(都市封鎖)の影響から回復し、大手工場は最盛期の生産態勢に入った。部品製造も活況で、一部の企業は新工場を立ち上げ受注増に対応する。今夏は猛暑に電気料金の高騰が重なるため、電機メーカーは省エネ性能の高い製品を軸に、家計と環境双方への負担軽減を提案して需要を喚起する。

https://www.at-s.com/news/article/shizuoka/1093785.html
フル稼働が続くエアコンの生産ライン=7月上旬、静岡市駿河区の三菱電機静岡製作所

 三菱電機静岡製作所(静岡市駿河区)では7月から家庭用全3ラインがフル稼働し、組み立て作業が忙しく続く。7~9月の生産は前年同期比20%増を計画する。昨年は半導体不足の影響を受けたが、今年は調達ルートの変更などで部品を確保。上海のロックダウンで4月以降は生産を少し落としたが、6月後半からは、現地からの供給が回復したという。

 主力の高性能センサー搭載製品が人気で、担当者は「消費者の省エネへの注目度は高い。熱中症対策で家庭内に複数台置くニーズもあり、需要は底堅い」とみる。

 日立ジョンソンコントロールズ空調清水事業所(同市清水区)も6月前半から、業務用エアコンをフル生産している。

 エアコン用部品などを製造する金型プレス加工業の岸本工業(同市駿河区)は6月、約6億円を投じて同区内に用宗工場を新設した。延べ床面積約1200平方メートルの拠点で室外機部品の溶接、組み立てを手掛ける。

 同社は三菱電機静岡製作所の主力サプライヤーの一つ。秋にはエアコンの樹脂部品分野にも参入予定で、対応商材の幅を広げて競争力を高める。

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