グリーンランド・ピッツフィック(CNN) 氷に覆われた北極圏の島、グリーンランドの北西部沖。
水面はガラスのように静かだが、氷山の上にできた水たまりは、氷床に急激な変化が起きていることを物語る。

グリーンランド北部では異常に気温が高い日が数日続き、急激に解けた氷の水が川になって海に注ぎ込んでいる。
専門家によれば、15度前後という気温は、平年を5度ほど上回る。

米コロラド大学の国立雪氷データセンターによると、グリーンランドで氷が解けて水になった量は、
15~17日にかけ、1日あたり60億トンに上った。これはオリンピックの水泳プールを720万回満たせる量に匹敵する。

同センターの専門家は「過去30~40年の気候平均と比較すると、
北部のこの1週間の解け方は普通ではない」と述べ、解ける量が急増していると指摘した。

氷床を観察している研究者は、異常な温かさに危機感を強めていた。
グリーンランドに駐在するテキサス大学の研究者は「昨日はTシャツで歩き回ることができた。本当に予想外だった」と話す。

2019年には5320億トンという記録的な量の氷が解けて海へ流れ込んだ。
研究者は毎年夏になると、そうした事態が繰り返されることを懸念する。
今年春から7月にかけては予想外に気温が上昇して氷床のほぼ全表面が解け、世界の海面は1.5ミリ上昇した。

もしもグリーンランドの氷が全て解けたとすると、世界の海面は約7.5メートル上昇する。

今回の調査は、北半球で最も氷の多いこの島が、ますます不安定な状況になりつつあることを物語っている。
今年2月には、グリーンランドの氷床の下の氷が「前例のない」ペースで解けているという研究結果が発表されていた。
https://news.yahoo.co.jp/articles/ce148b49c759d2b5a6e2c38110c4943bc46a1ffc