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竹パウダーの山でカブトムシを捕まえた園児=阿南市橘町

 放置竹林の活用に取り組む阿南市橘町のNPO法人竹林再生会議が来夏、竹パウダーで育ったカブトムシと子どもたちが触れ合える「カブトムシ牧場(仮称)」をオープンさせる。再生会議理事の加藤眞由美さん(68)ら3人が、牧場を運営するベンチャー企業を7月に設立した。

 牧場は、再生会議事務所(同市橘町傍示)近くの竹林に、カブトムシが成虫になる6~8月に開設する。1万匹程度を用意。有料で子どもらを招いて、カブトムシと触れ合ったり、持ち帰ったりできる場にする予定だ。

 市内には県内の約50%を占める約1600ヘクタールの竹林があるものの、手入れが行き届いていない放置竹林が多い。竹林再生会議は2014年に発足。長池奉成代表理事(71)を中心に、竹パウダーを使った有機農業や、竹を使った和紙「竹紙」作りなどを通じて、伐採した竹を貴重な資源として利用している。

 カブトムシはそんな活動の思わぬ副産物だ。長池代表理事が18年に市内各所の竹林で、発酵させるために積み上げていた竹パウダーの山から多数の幼虫を発見した。産卵から成虫になるまでは餌場になっているほか、竹の防臭・殺菌作用がイノシシやシカから守っているとみられる。

 それ以来、毎年約2千匹を採集しては、地元の子どもたちを対象にした観察会や無料配布を続けてきた。6月30日には、地元の園児を事務所近くの竹林に試験的に招待した。園児は竹パウダーの山の上で動き回るカブトムシを観察したり捕まえたりして大喜び。関係者は牧場の事業化に手応えをつかんだ。

 3匹を虫籠に入れて持ち帰った塩﨑湊介ちゃん(5)は「角があってかっこいい。餌をあげて長生きさせたい」と笑顔だった。

 ベンチャー企業の社名は「竹林再生物語」。来夏の牧場のオープン前にはメンバーが竹林を巡って、カブトムシを採集するという。若竹から採取する「竹水」や竹紙を使った体験型観光も計画しており、市の活性化や雇用創出を目指す。加藤さんは「事業を軌道に乗せ、障害者らの雇用にもつなげたい」と意気込んでいる。

https://www.topics.or.jp/articles/-/745639