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政府による世界平和統一家庭連合(旧統一教会)に関する被害の電話相談がスタートした。消費者庁は、今回受けた相談なども踏まえ対策の議論を進める方針だ。霊感商法を巡っては、平成30年の消費者契約法の改正で取り消し権が行使できるようになったものの、現在の問題は当初念頭にあった物品販売ではなく、献金が中心になっている。掘り起こした被害を救済につなげられるかが今後の課題となる。

消費者庁によると、霊感商法に関する消費生活相談は24年度に3267件あったが、29年度以降は1200~1500件程度で推移している。全国霊感商法対策弁護士連絡会の渡辺博弁護士によると、霊感商法を行う団体は他にも存在するが、全国で大規模に実施してきたのは旧統一教会だという。

かつては壺をはじめとする物品を販売していたが、21年に特定商取引法違反の疑いで、旧統一教会と密接な関係にあった印鑑販売会社社長らが警視庁公安部に逮捕されて以降は、「一番大切なものをささげることで悪い因縁を断ち切ることができる」などとして、資産の献金や寄付を求める「浄財」が多くなったとされている。

30年の消費者契約法改正で霊感商法は最大5年を期限に取り消し権の行使が可能になったが、これを献金や寄付に適用できるのか。

消費者法に詳しい松本恒雄・一橋大名誉教授は「通常、寄付というのは払ったことによる対価がはっきりしていないが、霊感商法では『悪縁除去サービス』というリターンがはっきりしている契約とみなせる」と指摘。その上で「献金・寄付も当該団体への対価だとはっきりした規定を入れるべきだ」と付け加えた。ただし、取り消し権を行使できても、教団側が拒絶した場合は裁判となり、被害者が霊感商法であることを証明しなくてはならない。

また、信者の高額献金によって困窮した親族が被害を訴える場合は、自身に発生した不利益を証明する必要がある。未成年なら、まずは献金によって扶養請求権が侵害されているとして自身の親を訴え、さらに教団が親と共同で権利を侵害したと訴えることになる。子供が独立している場合は親とは個別の財産とみなされ、親が自身の財産を献金しているのみであれば訴え出ることは難しいという。

今後、消費者庁の対策検討会は信者から宗教団体などへの寄付問題、消費者契約法や特定商取引法についても議論。内容は、法務省などで構成される関係省庁連絡会議にも反映される見込みだ。(吉沢智美)

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