今年6月、韓国空軍が最新鋭ステルス戦闘機F35Aを点検したところ、航空電子系統に欠陥が見つかり、急いで飛行計画をキャンセルしなければならなかった。5年ぶりに実施される韓米合同飛行訓練まで、もう1カ月も残っていないという状況だった。今年5月には、飛行を終えて戻ってきたF35Aで射撃など火力コントロール系統の異常が見つかり、整備所に送られた。今年1月の飛行では、訓練を終えたF35Aのランディングギアがきちんと降りず胴体着陸するという、ひやりとする事故が発生した

 韓国空軍の中心的戦力であるF35Aが、正常に作戦を開始した昨年から今年上半期までの間に、飛行不能状態(G-NORS)、特定任務不能状態(F-NORS)の判定を合わせて234回受けていたことが3日までに分かった。最新の戦闘機を配備したばかりなので、必要な修理・付属品の確保および管理に問題が生じていることが主な原因と分析されている。こうした欠陥により、戦闘機は短くて数日、長いと4カ月以上も飛行または特定任務の遂行ができず整備所で過ごしていたことが把握された。北朝鮮の核・ミサイルの脅威に対応する韓国軍の3軸体制、その一つである「キルチェーン」(先制打撃)の中核的戦力であるF35Aが、管理不十分によりきちんとした備えができずにいるのだ。

 F35Aは韓国空軍の保有する唯一のステルス機で、価格は1機1000億ウォン(現在のレートで約101億円。以下同じ)に達する。2014年に対北抑止力強化のため米国から40機購入すると決定し、2018年3月から今年1月まで、およそ4年を費やして配備手続きを終えた。さらに来年から2028年まで、追加でさらに20機ほどを配備するFX(次世代戦闘機)第2次事業も進められている。

 保守系与党「国民の力」所属で国会国防委員会に籍を置くシン・ウォンシク議員が入手した韓国空軍の資料によると、F35A戦闘機は昨年から今年6月までに、点検の過程で飛行不能状態172件、特定任務不能状態62件の判定を受けていたという。昨年1年間で飛行不能状態は117件、特定任務不能状態は45件発生した。今年上半期はそれぞれ55件、17件だった。戦闘機は飛行の前後などに随時点検を受けるが、このときに異常が見つかったら飛行自体や、急降下・音速飛行、レーダー活用追跡作戦など特定任務の作戦活動に制限がかかる。F35Aは第5世代ステルス機で、ステルス性能と電子戦能力など統合抗戦システムを備えている。最高速度はマッハ1.6で、戦闘行動半径は1093キロに達する。北朝鮮の金正恩(キム・ジョンウン)委員長が最も恐れる兵器の一つに挙げられる。


 F35A戦闘機40機の飛行不能・特定任務不能状態の総発生件数は、保有機数が多い老朽機種のF4E・F5戦闘機より2倍以上も多かった。現在、F5系列の戦闘機は80機前後、F4は20機前後が実戦配備されているという。韓国空軍の資料によると、F4Eの場合、飛行不能状態は昨年1年間で13件、今年上半期は13件発生し、特定任務不能状態はいずれも0件だった。F5は飛行不能状態が昨年20件、今年上半期8件、特定任務不能状態は昨年38件、今年上半期4件だった。韓国軍関係者は「どの機種でも部品の問題などで異常が発生し得るが、F35Aは特にその程度が深刻だということが明らかになった」と語った。