0001きつねうどん ★
2022/10/30(日) 17:28:29.91ID:9W1M5cq+公式ツイッターで使われているマスコット「キュータ」が応急手当てをするイラスト=東京消防庁提供
目の前で倒れている人を助けて、黙って立ち去る。東京消防庁はそんな「名もなきヒーロー」を探している。急病人や火事などの緊急時に偶然居合わせて、応急手当てなどをしてそのまま立ち去った人はこの10年で少なくとも50人。救急車が到着するまでの数分間の行動は、多くの命を助ける。東京消防庁は「お会いして感謝を伝えたい」としている。
10月だけで2件の人助け
10月20日午前8時ごろ、東京都品川区の踏切付近にいた急病人に対し、周囲にいた複数の人が救護にあたった。近くの事務所からAED(自動体外式除細動器)を運び、男性が急病人に電気ショックを施した。
その4日前のマラソン大会でも、人助けがあった。「東京レガシーハーフマラソン2022」に参加していたランナーが午前9時50分ごろ、千代田区内の路上で倒れた。ここでも複数の人が駆けつけ、ランナーにAEDを付けるなどしたという。
急病人やランナーは応急手当てが功を奏したこともあり、一命を取り留めた。
東京消防庁は2012年にツイッターを開設。13年10月から公式運用を始め、火災や事故への注意喚起を中心に投稿している。人助け事案で、該当者が見つからない上記のような場合に「#人を探しています」としてツイートしている。
毎日新聞がツイートを確認したところ、これまで少なくとも50件を発信していたが、救助者が名乗り出たケースはごくわずかだ。それでも、リツイートが相次ぐ。
「ササッと人命救助をして名前も言わずに立ち去るとかカッコよすぎる……」
「AED講習を受けたばかり。自分もいつの日か人命救助をできるように、見習いたい」
人探しの目的は果たせていなくても、都会の片隅で行われた善意が温かい反響を呼んでいる。
東京消防庁の発信はSNS(ネット交流サービス)ユーザーへの気配りが感じられる。14年に三鷹市であった火災での「#人を探しています」ツイートは、「逃げ遅れた男性を物干し竿で救助してくださった方を探しています」と投稿。約3500件のリツイートがあった中で、「どうやったのか全く想像できません」と素朴な疑問が寄せられた。すると、翌日には救助の様子をイラストで説明する投稿で応えた。このケースは火事がテレビで報じられたこともあり、該当者が見つかった。
応急手当てが命を救う
19年、都内で救急車が現場に到着するまでの平均時間は6分35秒。この空白時間が生死を大きく左右する。心停止状態の搬送者4698人のうち、居合わせた人から人工呼吸や心臓マッサージ、AEDなどで応急手当てを受けた人は2108人(44・9%)だった。応急手当てを受けて救急隊に引き継がれたことで、命が救われた事例は多いという。
病院に着くまでに心臓が再び動き出す心拍再開率は、応急手当てがあった場合は、ない場合に比べて約2倍と高く、搬送から1カ月後の生存率も約3倍の差がでている。東京消防庁は「応急手当てに自信のない人がいると思うが、119番や救急隊員からアドバイスすることもある。大切な命を救うために、ためらわずに応急手当てをする勇気を持ってほしい。今後もSNSを通じて、より多くの人に呼びかけることで、本人に感謝の意を伝えていき、応急救護の重要性を広めていきたい」としている。【大沢瑞季】
https://mainichi.jp/articles/20221029/k00/00m/040/104000c