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2022/11/03(木) 14:36:15.27ID:hz6PtIdQ先頭車両で見ることができる運転士の動作(京阪京津線)
鉄道は、多くの人にとって交通の手段としてだけでなく、趣味や娯楽の対象としても親しまれており、ときに人々の知的好奇心を刺激してくれる。交通技術ライターの川辺謙一氏による連載「鉄道の科学」。第4回は「『出発進行!』の掛け声」について。
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電車の一番前に乗り、運転室(乗務員室)の中をのぞき込んだことはありませんか? 鉄道に興味がある方なら、前方の景色を見るために一度はそれを経験したことがあるでしょう。
運転室をのぞき込むと、運転士がさまざまな動作をしているのを見ることができます。これから紹介する「指差喚呼(しさかんこ)」は、その代表例です。
「指差喚呼」は、確認する対象を指差し、声に出すことでミスの発生確率を最小限に抑えるための動作です。列車を安全に運行するための工夫の一つで、運転士だけでなく、車掌や駅員もこの動作をしています。もともとは日本の鉄道のみで行われていた動作だったようですが、現在は海外の一部の国の鉄道でも使われています。
また、電車の運転士は、発車する直前に前方を指差し、「出発進行」と声に出して言うことがあります(後述するように、言わないこともあります)。
これを「これから出発するぞ」という意味を持つ掛け声だと思っている方が多いようです。たしかに、駅で列車が発車するときに運転士が言うので、そう思う方がいても不思議ではないでしょう。
「列車を発車させてよいか」を確かめる動作
結論から言うと、これは誤りです。正確には「出発進行」は「これから出発するぞ」ではなく、「出発信号機の現示が進行である」という意味なのです。
ここで「出発信号機」や「現示(げんじ)」という聞きなれない言葉が出てきたので、それぞれ説明しましょう。「出発信号機」とは、駅構内に設けられる信号機の一種であり、駅から出発する列車に対して信号を現示するものです。「現示」とは、信号機によって示される現在の状況、または列車に対する指示のことです。
日本の鉄道では、おもに「進行」・「注意」・「停止」という3つを「現示」する出発信号機が使われています。なお、2つ、4つ、5つの現示がある出発信号機も存在します。
ざっくり言うと、先ほどの3つの「現示」には次のような意味があります。
【進行】
信号機の先に進んでよい
【注意】
減速したうえで、信号機よりも先に進んでよい
【停止】
信号機を越えて進入してはならない
色がついたランプが点灯する「色灯式信号機」では、「進行」は緑色、「注意」は黄色、「停止」は赤色のランプが点灯します。