近年、注目されている地政学とはどんな学問か。YouTubeでの歴史解説で累計1億回以上の再生回数を誇る「非株式会社いつかやる」のメンバー、いつかやる社長は「めまぐるしく変化する世界情勢を理解するために、必須の学問だ」という――。
※本稿は、いつかやる社長『90枚のイラストで世界がわかる はじめての地政学』(飛鳥新社)の一部を再編集したものです。

世界情勢の理解に役立つ「地政学」
毎日ニュースや新聞、ネットで流れてくる情報を見ていて、

「世界では大きな事件や戦争が起きている。大変なことはわかるけど、むずかしくてよくわからないなぁ……」

そんなふうに思ったことはないかな?

最近では、ウクライナにロシアが侵略をおこなったり、中国が「台湾は自分の国の一部だ!」といって台湾周辺で軍事訓練をおこなったり、ぼくらの住む日本でも憲法を変えようとする動きが出てきたり、アメリカがいろんな国と対立したり仲良くなったり……なぜこんなことが起きるんだろう?

さらに、国と国との関係がだんだんと複雑になっていく世界で、日本がこれからも平和でいられるためにはどうすればいいのかな?

そんな問題解決に、おおいに役立つのが「地政学」なんだ。

時代は変わっても、地理的条件は変わらない
世界にはたくさんの国があり、そこには多種多様な人々が住んでいる。人が多くなれば、考えることも十人十色だよね。

ただ、どの国にも絶対に変わらない前提があるんだ。それが「地理的条件」。

たとえば、日本はまわりを海に囲まれている国であり、この条件が変わることはない。同じように、世界の国もこうした地理的条件からのがれることはできないんだ。

だから、どの国もかならず地理的条件を考え、政治や戦争をおこなっているんだよ。

地政学はそんな地理的条件から、その国がおこなう政策や軍隊の動かし方、そうした動きの本心を知り、そこから未来に起こるであろうことを予測し、対処しようとする学問なんだ。

だからこそ、地政学は世界情勢を知りたいときにも役立つよ。

ニュースを見ると、世界では毎日のようにさまざまなできごとが起こっているけれど、これも「地理的な条件」が大きく関係しているんだ。そうしたできごとを地政学を通して見ていくと、「なぜこの事件は起きたのか?」「どうすれば解決できるか?」がパッとわかるようになるんだ。

日本は海に守られた「シーパワー国」
日本は海に囲まれた島国だ。

海がまわりにあるから、攻められるとしたら敵は海を超えてくるよね。だから海の守りに力を入れるのが正解。海の力をもつ国を「シーパワー国(海洋国家)」といって、日本以外にはアメリカやイギリスがあるよ。

シーパワーの特徴は、なんといっても「海に囲まれていること」だ。

もし他国がシーパワーの国を侵略しようとしても、かならず船で海を越えなければならないよね。平地に比べ、海をわたって侵略するのはとてもむずかしく、リスクが多くあることから、シーパワーの国は他国から攻めこまれる危険性が低いんだ。

シーパワーの国々は、経済や貿易でも、漁業や船を使った海上貿易など、海を中心とした生活をおこなっている。だから、海での活動が制限されるとヤバイ。命綱を切られるのと同じくらい危ないことなんだ。

そのため、シーパワーの国は周辺の海を一生懸命守ったり、海外に基地をつくったりする必要が出てくるんだ。だから当然のように、シーパワーの国は、陸軍よりも海軍が強くなっていく。広い海を守るため、ほかのシーパワー国と協力するのも特徴だよ。

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イラスト=『90枚のイラストで世界がわかる はじめての地政学』より

つづき
https://president.jp/articles/-/64394