ウクライナのゼレンスキー大統領は「クリスマス休戦」を呼びかけていますが、ロシア側は応じない見通しです。ロシアでは今年、年末の大規模記者会見など恒例の3行事が延期されています。そこから透けて見えるプーチン大統領の思惑を考えます。

■砲撃42回…8歳男児ら3人死亡

有働由美子キャスター

「ウクライナ軍が11月に奪還した南部ヘルソンの映像では、州庁舎で黒い煙が上がっています。倉庫からは炎も上がっています。ヘルソンでは14日だけで42回の砲撃があり、8歳の男児を含む3人が亡くなりました」

■「クリスマス休戦」どうなる?

有働キャスター

「ゼレンスキー大統領は『クリスマスを迎える今こそ平和を考える時だ』とロシア軍の撤退を呼びかけていますが、(ロシアの)プーチン大統領はどうでしょうか?」

小栗泉・日本テレビ解説委員

「ロシアの大統領府は『年内の撤退などあり得ない』と明らかにしています。ロシア正教では1月7日がクリスマスですが、ロシア側はそもそも休戦について『誰からも提案を受けていない』としていて、“クリスマス休戦”は行われない見通しです」

■3つの行事が延期…専門家の見方は

小栗委員

「ではどう出るのでしょうか。プーチン大統領の思惑が透けて見えるのが、3つの行事の延期です」

「外国の記者も招く年末恒例の大規模記者会見について、ロシア大統領府は『今年は行わない』と明らかにしました。他にも毎年春の年次教書演説や、夏にテレビを通じて行う国民対話も、今年は延期されたままになっています」

有働キャスター

「なぜでしょうか?」

小栗委員

「ロシア政治に詳しい慶応義塾大学の廣瀬陽子教授は『会見をすると、今は戦争の質問が出ないわけがなく、はっきり答えられないとまずいから、延期をしていると思われる』と話しています」

有働キャスター

「都合が悪いから出てきたくない、ということなのですかね…」

■兵士の母親と面会も…でっち上げ?

小栗委員

「一方で、積極的にアピールしていることもあります。兵士の母親たちと面会する様子の映像が公開されていますが、国内の不満に耳を傾ける姿勢を見せたいという狙いがあるとみられます」

「ただ、廣瀬教授によると全員がプーチン政権を支持していて、中には女優も入っているため、『でっち上げではないか』との話もあるということです」

有働キャスター

「それだけ国内の批判を恐れているようにも見えます」

廣瀬俊朗・元ラグビー日本代表キャプテン(「news zero」パートナー)

「こういう小手先に見えるようなことをやってしまうと、国民からの支持はますます得られなくなり、どんどん追い込まれそうだなと思いました。今後どう終結を迎えるのか、(それが)いつ頃なのか気になりますね」

有働キャスター

「シャンパングラスを片手に、軍人らを表彰する式典に出席したプーチン大統領の映像があります。廣瀬教授は『普段は人前で飲まないので、極めて珍しい姿』と言います。暖かい部屋で飲みながらの映像が、家族を兵士に取られる人たちにどう映るのでしょうか」

(12月15日『news zero』より)

https://news.ntv.co.jp/category/international/5bcf35a09bae45859ef35869fe1463ec