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会談に臨む立憲民主党の泉健太代表(右)と日本維新の会の馬場伸幸代表=国会内で2022年12月10日午後5時12分、竹内幹撮影

 立憲民主党と日本維新の会は、昨年の臨時国会に続き、23日召集の通常国会でも「共闘」する方針だ。維新の馬場伸幸代表が幹事長時代に「立憲は日本に必要ない政党だ」と述べるなど、本来は「水と油」の関係だったはずだが、なぜ接近しているのだろうか。

立憲が「身を切る改革」

 立憲の安住淳国対委員長は11日、国会内で記者団に「通常国会が始まる前に両党首間で合意できればと思う。違いはあるが、それを埋める形で連携していく」と述べ、維新と連携することを明言した。12日に維新の遠藤敬国対委員長と会談して、連携の方針について確認する。

 「何でもかんでも増税を先に言うんじゃなくて、歳出改革、国会議員の『身を切る改革』にまず取り組む。大きく連携はできるのではないか。各役所の無駄遣いを、両党で協力して見つけ出していきたい」

 立憲の泉健太代表は8日のNHK番組で、維新のキャッチフレーズ「身を切る改革」に触れ、維新との連携に意欲をみせていた。泉氏は4日にも、三重県伊勢市での記者会見で「政策的な連携は国会前から協議したい」と述べるなど、早くから維新との協調姿勢をアピールしていた。

統一選にらみ「岸田増税」を争点化

 立憲と維新は昨年の臨時国会に異例の共闘態勢で臨んだ。世界平和統一家庭連合(旧統一教会)問題を受けた被害者救済法では、与党側に要望をのませたうえで、成立につなげるなど一定の成果を上げた。閉会後も立憲の安住氏、維新の遠藤氏らが水面下で連携できる政策項目について協議を進めていた。

 通常国会では、政府が打ち出した防衛費の大幅増額に伴う増税について、足並みをそろえて反対し、行財政改革や国会改革での財源捻出を主張する構えだ。安住氏は11日、「野党第1党と第2党が強力なチームを作ることができれば、次の段階で他の党とも連携し、自公に論戦を挑んでいきたい」と強調した。

 両党が通常国会でも共闘するのは、4月の統一地方選やその先の次期衆院選をにらみ、与党との対決姿勢を強める狙いがある。国会論戦で国民の負担増に焦点を当てることで「岸田増税」を争点化する戦略だ。

異なる安保政策、くすぶる不満

 ただし、相手国のミサイル発射拠点などをたたく反撃能力(敵基地攻撃能力)保有に賛成する維新に対し、リベラル派が多い立憲は保有に慎重姿勢を示すなど、両党の安全保障政策は異なる。

 しかも、統一選では両党が、全国の議会選などでぶつかり合うことは避けられない。泉氏が「身を切る改革」に意欲を示したことに対して、立憲内から「他党のキャッチフレーズまで掲げてすり寄るのは、さすがにやり過ぎだ」(ベテラン議員)との声も上がるなど、維新との共闘路線には不満もくすぶっている。【安部志帆子】

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