0001きつねうどん ★
2023/01/19(木) 07:50:40.92ID:qN3Z8VhIアラブの盟主を自認するサウジアラビアが最近、活発な外交攻勢をかけている。起点は2022年7月のバイデン米大統領によるサウジ訪問と、同国の実力者、ムハンマド皇太子との会談だった。2018年にトルコ・イスタンブールのサウジ総領事館でサウジ人記者のジャマル・カショギ氏が殺害された事件で悪化していた両国関係の転機になった。
ムハンマド氏は同月、ギリシャとフランスを歴訪。サウジ人記者殺害事件以降、同氏が欧州連合（EU）加盟国を訪問するのは初めてのことだ。そして、ムハンマド氏は昨年11月、インドネシアで開かれた主要20ヵ国首脳会議（G20サミット）に出席。次いで韓国を訪れ、尹錫悦大統領と会談した。また、中国の習近平国家主席が昨年12月、サウジアラビア・リヤドを訪れ、サルマン国王やムハンマド氏らと会談した。
ところで、ここでちょっとした話題だったのが、ムハンマド氏の「訪日キャンセル」だった。本来、ムハンマド氏は韓国とタイを訪れた後、訪日する方向で調整が進んでいた。日本側は岸田文雄首相との会談や関係企業らが参加するビジネス・フォーラムなどを準備していたという。外部で見ていると「日本は顔を潰された」ようにも映った。
日本と韓国はお互いに張り合うのが好きなので、韓国のSNSなどでは「ムハンマド氏は韓国訪問で目的を十分達したから、日本行きをキャンセルした」「日本の重要性が落ちている」などという声が飛び交った。韓国・聯合ニュースは、訪日キャンセルについて「一部ではムハンマド氏が今回の訪韓で、予想を上回る巨額のプロジェクトを推進したことが影響したとの指摘がある」と伝えた。
実際はどうだったのだろうか。複数の関係者によれば、今回の訪日キャンセルは、サウジ側の都合によるものだが、単純に日程調整の難航が原因だったという。サウジアラビア王族の外遊は、外交関係者の間ではつとに有名だ。まるで参勤交代のように、航空機を十数機連ねてやってくる。同行者の数も千人規模になるし、トイレに至るまで王族が使う様々な所持品を運んでくる。
10年ほど前、王族の１人が都内にある政府系機関を訪れた。この機関の関係者が待っていると、20台以上の高級車がやってきて、驚かされたという。今回はアジア歴訪ということもあり、日程も限られていた。韓国訪問も滞在時間がわずか20時間だったという。このため、うまく調整が進まず、「後日の機会にゆっくり訪日する」という方向で再調整が図られることになったようだ。
日本は中国に次ぐサウジアラビア産原油の輸入国だ。ムハンマド皇太子自身は、「ワンピース」など、日本アニメのファンで知られる。家族も時々、お忍びで来日して東京ディズニーランドなどを訪れている。サウジ王室は、日本の皇室との関係を重視していて、決して「日本の重要性が落ちている」ということではないようだ。
韓国は26件、4兆円近くの経済合意を締結
とはいえ、一部では「ムハンマド皇太子は、日本よりもカタールW杯が待ちきれなくて帰国した」というジョークも飛び交っていた。サウジにとって日本が重要な国であることは間違いないが、韓国の猛烈なアピールがあったことも事実だ。限られた外遊の日程の結果、サウジアラビアの「日本と韓国の扱い」には大きな差が出たように見えたのが真実だったたと思われる。
日本がサウジにとって重要な国である一方、韓国はサウジを初めとする中東諸国に猛烈にアタックしている。聯合ニュースによれば、ムハンマド皇太子の韓国訪問の機会に、韓国主要企業とサウジの政府・機関・企業は幅広い産業分野にわたる26件の契約や覚書（MOU）を交わした。総額は300億ドル（約3兆9800億円）に達するという。サウジが力を入れる巨大都市開発プロジェクト「NEOM（ネオム）」に対する韓国企業の投資や参入が相次いだという。
NEOMは、「石油の次はIT」と考えるムハンマド皇太子が主導する「サウジビジョン2030」の一角をなす重要事業。紅海のアカバ湾の東側、ヨルダンやイスラエルに近い地帯に、直線距離170キロ、人口約900万人に達する巨大な近未来都市を建設する。総事業費は5000億ドルで、2030年に第1期の工事を終えるとしている。
また、サウジと韓国は2030年の国際博覧会（万博）を巡って争う関係にある。現在、ウクライナ・オデッサ、韓国・釜山、イタリア・ローマ、サウジ・リヤドの4都市が立候補を表明している。韓国は昨年7月、男性7人組人気グループ、BTS（防弾少年団）を釜山万博広報大使に任命。10月15日には、釜山で開かれたBTSの無料コンサートに韓国駐在の外交団が多数招待するなど、懸命の招致活動を続けている。
つづき
https://gendai.media/articles/-/104920
