1/22(日) 16:00   クーリエ・ジャポン
https://news.yahoo.co.jp/articles/b92ab9f3989536e38cc65dfdd18f9c7bda30029f

世界各地で電気自動車(EV)の新車販売が急速に増えている。その一方で、日本のメーカーはEVの開発・販売に遅れを取り、そのシェアを失いつつあると米誌「ブルームバーグ・ビジネスウィーク」が報じている。

【画像で見る】トヨタの作るEVはどんなものか

急速に地位を失うトヨタ
2022年11月の米ナスカーカップのカーレースの会場では、米環境団体パブリック・シチズンが横断幕を掲げた飛行機を飛ばした。そこには次のように書かれていた。

「エキサイティングなのがお好き? ならばEVに乗ろう。つまらないのがいい? ならばトヨタに乗ろう」

パブリック・シチズンは、それ以前にも、トヨタ自動車にEV展開の遅れを批判する公開書簡を送っていた。最高経営責任者(CEO)の豊田章男に対して、こう書いている。

「どの自動車メーカーもバッテリー式EVの急激なニーズ増に対応できずにいます。でもトヨタはそれに応えようとすらしていません。トヨタは速やかにEVに移行できるはずです。そうしなければ衰退するリスクもあります」

パブリック・シチズンがこのような動きをするのは、環境保護という目標のためだ。しかし同時にこのメッセージはEVへのシフトに遅れを取る、トヨタ自動車などの日本の自動車メーカーに対する広い懸念と一致する。

ブルームバーグ・インテリジェンスによると、販売台数で世界トップのEVメーカーはテスラ・モーターズだ。中国のBYDとドイツのフォルクスワーゲンAGがそれに続く。日本の自動車メーカーはトップ20にも入らない。

ブルームバーグのデータによると、2022年の第1〜3四半期で自動車全体の販売台数は4%減少した。一方、EVの販売台数は前年同期比で約80%増加している。

EV開発でも先行者だった日本のメーカー
日本の自動車ブランドは、長年にわたって世界の消費者に愛されてきた。米国においては新車販売台数の3分の1以上を占め、東南アジアからアフリカまで支配的な地位にあった。

日本のメーカーは早い段階から環境に配慮した車を開発生産していた。だからこそEV競争における遅れは不可解だ。

トヨタが1997年に発売したハイブリッド車の「プリウス」は、環境に優しい行動を取ることで有名なハリウッド俳優にも選ばれた。2009年、日産自動車は初の量産型EV「リーフ」を発表し、三菱自動車工業もEV「アイミーブ」を発売した。2010年、トヨタはテスラに出資している。

しかし、初期のEVは販売台数が伸び悩んだ。バッテリー車への移行はすぐには起こらないと判断した日本の自動車メーカーは、ガソリンと電気のハイブリッド車に集中することにした。そして、EVよりも環境に優しい新技術である水素燃料電池車の開発を進めようとする日本政府に協力したのだ。

豊田CEOは2022年9月、EVについて、「メディアが期待するよりも時間がかかっているだけです」と語った。また、同社はCO₂排出量の削減をミッションとするものの、EVだけに注力するつもりはないとも述べている。

「世界が多様化し、何が正解かわからない時代に一つの選択肢だけですべての人を喜ばせるのは難しいのです」

ガソリン価格の高騰や政府による優遇措置でEV需要が高まる現在、日本の自動車メーカーはガソリン車を避けたい人たちに提供できるものがほとんどない。

日本のブランドもEVを販売しているが、その評判はあまり良くない。トヨタは2022年5月に電動SUVのbZ4Xを発売したものの、車輪が外れる恐れがある欠陥が見つかり、6月には販売は一旦中止された。すでに販売は再開されているものの、その数は限られる。

次ページは:EVへの移行に追いつけない日本メーカー

続きは上記リンク先をご覧ください。