0001きつねうどん ★
2023/03/02(木) 21:05:57.60ID:fy3IncQPhttps://www.yomiuri.co.jp/media/2023/03/20230302-OYT1I50120-1.jpg?type=large
新店舗に掲げられたはり紙を前に「安くて優しく、腹いっぱいになる店にしたい」と話す井上さん(京都市上京区で)
3万人に提供
「めし代のない人 お 腹なか いっぱい食べさせてあげます」「30分皿洗いすれば無料」――。出町店の店主だった井上定博さん(73)は1982年から2020年10月に引退するまで約40年、店頭にそんなはり紙を掲げ、苦学生ら延べ約3万人に無料で食事を提供してきた。
原点は、貧乏暮らしをしていた20歳代の体験だ。妻と駆け落ちし、6畳一間のアパートで食費も切り詰めていたある日、職場の先輩がすき焼きをごちそうしてくれ、心も体も救われた。
3年前、70歳の節目に引退し、自宅でのんびりしていた。そんな時、コロナ禍で仕事を失って食料の無料配布に並んだり、物価高で1日1食に切り詰めたりしている若者らの姿をニュースで見た。
励まされた手紙
井上さんの自宅には、神棚に飾り、大切に保管している手紙がある。約20年前、井上さんの取り組みを知った60歳代の女性客から手渡された。戦時中、栄養失調で生死の境をさまよったところを人に助けられた経験を振り返り、「世の中にあなたのような人がいてくれてうれしい」とつづられ、現金10万円が入っていた。
「今こそあの女性の気持ちにこたえなあかん」と昨年6月、再び店を開くことを決めたという。
家族は「もう年やのに」と反対したが、内緒で貸倉庫に保管していた鍋や食器を引っ張り出し、出町店から100メートルほど離れた出町 桝形ますがた 商店街の中に物件を見つけた。店名は「いのうえの餃子」。カウンターに9席の小さな店だ。餃子を中心にラーメンや唐揚げなども提供する。
開店は3日。皿洗いで食事代が無料になることを告げる手書きのはり紙も用意した。
井上さんはいたずらっぽく笑う。
「若い子に腹いっぱい食べてもらいたい。こんなおっちゃん、1人ぐらいおってもええやろ」
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