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野球の世界一を決めるワールド・ベースボール・クラシック(WBC)は11日、プールB・1次リーグ第3戦の日本対チェコ共和国の試合が行われこの日、先発の佐々木朗希が与えた死球と、前日韓国戦でのヌートバーの死球の差が話題を呼んでいる。

■佐々木162キロの死球
佐々木はこの日、1回の表ツーベースを許すとショート中野拓夢の悪送球で一点を先制されたが、4回2/3を投げ8奪三振と上々の「世界デビュー」を果たした。

だが4回表7番のウィリー・エスカラに対し投じた5球目162キロのストレートが膝を直撃。エスカラはその場でもんどりを打って転倒。周囲も心配する中、エスカラは立ち上がり一塁へ。

これに佐々木は脱帽し謝意を表すと一塁を守っていた山川穂高もまた脱帽してみせた。するとエスカラは、これに応えるように一塁線をライト方向へ走り始め、また一塁へ全力疾走で戻り万全をアピール。これには東京ドームの観客も拍手喝采。両チームのやり取りに、球場は清々しさにさえ包まれた。

これと対照的だったのが前日の韓国戦、6回にラーズ・ヌートバーが背中に受けた死球。韓国5番手のキム・ユンシクは、まったく悪びれる様子もなく、ヌートバーはこれを故意と見たのだろう、一塁を歩き始める際にユンシクをにらみつけた。これをMLB124勝の朴賛浩(パク・チャンホ)が批難したとの報道さえあった。

厳しい内角攻めはもちろん投球術のひとつだが、死球が原因で欠場、ひどければ選手生命を縮めた選手もいる。ゆえに危険球による退場という新ルールさせ導入された過去がある。

日本の少年野球では与死球の場合、謝意を表すと教育されるが、MLBではその習慣はない。どのような行為が「正しい」とするつもりはないが、試合中の相手にケガをさせかねない与死球だけに、その際の態度には野球の質が現れているだろう。

ヌートバーは昨日のお立ち台で「凝っていたので、ちょうどいい場所に当たって凝りが取れたよ」とジョークにしてみせた。このウィットもまた、野球の質なのではないだろうか。世界一を決める国際大会だけに、その態度にも世界のお手本が求められるに違いない。そんな意味では、WBCにもMLBのロベルト・クレメンテ賞や、フェアプレー賞などが設けられても悪くないはずだ。

文●SPREAD編集部

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