ウクライナ国営通信は9日、ウクライナ軍事産業の業界団体幹部の話として、独自に開発した長射程ロケット弾「Vilkha―M」をロシアとの戦闘で実戦投入していると報じた。射程は約110キロ・メートルで、米国から供与された高機動ロケット砲システム「HIMARS」の80キロ・メートルを上回る。大規模な反転攻勢に向け、射程150キロ・メートルと200キロ・メートルの改良型の開発を急いでいるという。

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米陸軍の「ハイマース」

 「Vilkha―M」は、旧ソ連製の多連装ロケット砲を基に開発し、高精度の誘導も可能だとしている。戦闘での初投入は昨年5月で、HIMARSでは届かない露軍施設への攻撃で使用してきたとみられる。配備された台数や場所は不明だが、露軍が占領するウクライナ南東部のアゾフ海沿岸部などで使用された可能性が指摘されている。

 ウクライナ側は、大規模反転攻勢に向けて米欧に長射程兵器の支援を求めている。ただ、米政策研究機関「民主主義防衛財団」は先月、米国が支援を表明した射程150キロ・メートルのロケット弾「GLSDB」の実際の供与は今年秋以降になるとの見通しを示した。

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