[ワシントン/ブリュッセル 14日 ロイター] - 米軍は14日、黒海上空の国際空域を飛行していた米軍の無人偵察機MQ9リーパーがロシアのスホイ27戦闘機と衝突し、黒海に墜落したと発表した。

米軍の声明によると、ロシア戦闘機2機が米無人機(ドローン)を迎撃し、うち1機が衝突。衝突前、ロシア戦闘機は数回にわたりドローンに燃料を投棄し、ドローンの前方を危険な操作で飛行したという。

米欧州空軍のジェームズ・ヘッカー司令官は声明で「米軍のMQ9は公海上空で定期的な活動を行っていたが、ロシア軍の妨害を受け衝突し墜落した。MQ9は完全に失われた」と説明した。

ロシア国防省は14日、「ロシアの戦闘機は搭載された兵器を使用せず、ドローンと接触することもなく、無事にロシアの飛行場に帰還した」とし、米ドローンとの接触を否定。米ドローンは「激しい操縦」によって墜落したと主張した。

米国家安全保障会議(NSC)のカービー戦略広報調整官は「安全でなく、プロフェッショナルでない行動」という認識を示し、「米国務省はロシア側と直接対話し、懸念を表明する構えだ」と述べた。

また「われわれは1年前から一貫してこの空域を飛行しており、今後もそうするつもりだ」と強調。「公海上空での飛行前にロシア側と何らかのチェックインをする必要はない。そうする必要はないし、そうすることもない」とした。

バイデン大統領は状況説明を受けたという。

米国務省のプライス報道官によると、今回の衝突を受け、14日午後にロシアのアントノフ駐米大使を呼び抗議する予定という。また米国のトレーシー駐ロシア大使がロシア外務省に強いメッセージを伝えたほか、米当局者はこの件に関して同盟国やパートナー国に説明したとした。

その上で「この危険で、専門的でない妨害に強い異議を伝えるために、上級レベルでロシア側と直接取り組んでいる」と述べた。

国務省で14日午後に行われるアントノフ大使との面会の米側の対応者については明らかにしなかった。

米国防総省のパット・ライダー報道官は、ドローンはロシアの戦闘機に衝突された際に生じた「損傷により、実質的に黒海に墜落せざるを得ない状況にあった」とし、損傷を受けたドローンは基本的に飛行不能だったと言及。ロシアは現時点で墜落したドローンを回収していないと明かした。

北大西洋条約機構(NATO)の当局者によると、NATOの欧州連合軍最高司令官も同盟国に状況を報告した。

無人偵察機MQ9リーパーは米ゼネラル・アトミックスが製造。全長11メートル、翼幅20メートルの機体を持ち、燃料タンクが空の状態の重量は約2200キロ。

https://jp.reuters.com/article/ukraine-crisis-usa-drone-idJPKBN2VG1JB