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午後、雨の中、多くの人が期日前投票に訪れた=大垣市役所

 統一地方選の後半戦が告示された。選挙に関する記事を書かねばと悩む中、「期日前投票所、張り付いてみたら? 面白い話が聞けるかもよ」と上司からアイデアが出された。市議選が行われている岐阜県大垣市役所1階の期日前投票所で丸1日、若手記者2人が投票を終えた市民の思いや考えに耳を傾けた。(デジタル報道部・桂川景、坂井萌香)

大垣市役所に設けられた期日前投票所。午前8時半の開場前にもかかわらず、多くの人が列を作った=大垣市役所

 ■午前8時20分■
 開場前にも関わらず、投票所の外には15人ほどが列を作った。「投票所入場券をお持ちください」と担当者が声をかけた。

 ■午前8時半■
 高齢者や仕事前の会社員が投票を終える中、作業着姿の男性が目に入った。男性(25)に話を聞くと、工場勤務の夜勤明けという。男性は目をこすりながら「兄に『投票証明書がほしいから今日中に投票に行ってきて』と言われ、しょうがなく来た」と説明。投票した候補者については「深く考えたわけではない。誰でも良かった」と話した。

 出勤前だという50代女性は、近所から立候補した候補者に1票を投じた。「知っている人だし、人柄も分かっている。いいかなと思って。結果はどうであれ、投票した人がどんな結果になるのか楽しみ」と声を弾ませた。

午後、雨の中、多くの人が期日前投票に訪れた=大垣市役所

 ■午後1時■
 昼食の時間にも関わらず、投票する人は多かった。おしゃれな帽子をかぶった男性(78)は、「若い人に頑張ってほしいから、投票に来た」と話す。男性は旧満州地域で生まれ、戦後も苦しい生活を送った経験を持つ。「日本は豊かな国だ」と言い切るものの、男性はため息。「なぜ60歳以上の人が立候補するのか。せっかく奮起してくれた若い候補者のために、道を空けるべきだ」と話し、投票所を去って行った。

 マイナンバーの申請で市役所を訪れた主婦(33)は「免許証を見せたら投票できたので、せっかくならと思って」。5歳と0歳の子どもを育てているため混雑する日曜日の投票はやめた。妊娠前は新聞などで候補者の政策や訴えをチェックしていたというが、今回は政党で選んだ。「投票することに意味があるかなと思って。子どもや子育て世代に優しい社会になってほしい」と願いを込めた。「あとは選挙に来たらアメちゃん1個でもくれたら、難しいものからなんだか楽しいものになると思うんだけど…。多くの人が身近に感じたらもっと投票率が上がると思うな」と語った。

夕方は仕事終わりの人や学生らなど若者の投票が目立った=大垣市役所

 ■午後4時■
 仕事終わりの会社員がちらほら増えてきた頃、学生など10代~20代も目立ち始めた。仕事終わりの同僚と投票に来た会社員の男性(22)は、「会社に行けっていわれたもんでね」と頭をかいた。「今日が初めての選挙。でも何にも知らんもんで。こうなったらいいとか、政策とかよくわからん。どうやって(候補者を)決めたか? 会社に言われた人。だって誰でもいいもん」

 男子大学生(21)は、親に連れられてきた。「選挙に興味はない。誰でもいい。深くは考えていません」と口早に答えた。

 ■午後7時■
 女子大学生(19)は親と一緒に投票所を訪れた。「政治に興味はないけど、投票する人は自分で決めました。家のポストにチラシが入っていて、それを見て決めました。演説はよく分からないし、聞いてないです」と声量を抑えて話してくれた。

 商社勤務の男性会社員(27)は候補者名を書かず投票。「若者の投票率の低さに責任を感じました。無関心が一番いけないと思うんですよね。候補者についてよく分からない部分も多く、適当なことはできないと思って白紙で投票しました」と理由を語った。