5月4日    クーリエ・ジャポン
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いったい何百人が被害に…

芸能の世界の“傀儡師”ジャニー喜多川。その喜多川から性的虐待を受けたという最初の告発と直近の告発の間には、人の一生の半分ほどの歳月の隔たりがある。

1988年、元フォーリーブスの北公次が、自分やほかの10代の少年研修生が喜多川の性の餌食になったとスキャンダラスに告発した。フォーリーブスは喜多川の芸能プロダクション「ジャニーズ事務所」の最初期に人気を博したグループの一つだ。

北公次のその著書『光GENJIへ』を皮切りに別の告発も相次いだ。元ジャニーズの中谷良が出版した『ジャニーズの逆襲』でも少年たちへの虐待は書かれた。1990年代にも、『ひとりぼっちの旅立ち──元ジャニーズ・アイドル豊川誕半生記』を著した豊川誕など、さらに数名の研修生が同様の虐待を受けたことを公にした。

北公次の告発から三十数年後の今年4月、元ジャニーズJr.のカウアン・オカモトが日本外国特派員協会で会見を開き、高齢になった喜多川から何度も標的にされ、フェラチオされるなど性的被害を受けたと明かした。

オカモトの話によれば、彼がジャニーズJr.にいた4年間で、喜多川のマンションに泊まった男の子の数は100〜200人ほどおり、その「ほぼ全員」が被害者だったという。注目すべきは、オカモトが2012年2月、15歳でジャニーズJr.に入ったとき、この芸能界のドンに性加害の疑惑があるとは知らなかったことだ。

オカモトは4月12日の会見でこう語った。

「ほかのメンバーはわからないですけど、僕は入ってからネットで調べて知ったというかたちです。とくにニュースになっていなかったですし、知る由もないという感じです」

当時のオカモトは、ほかのジャニーズJr.のメンバーと同じで未成年であり、親の許諾なしに芸能事務所には入れない。もっともオカモトは母親も何も知らなかったと強調したうえで、もし知っていたらジャニーズ入所はなかっただろうと語った。

民主主義国家では、マスメディアが権力を監視する番犬という公的な役割を果たすことになっている。権力者が弱者に虐待や犯罪行為をしていたらメディアがそれを糾弾して当然なのだ。

数十年前、仮に日本の大手メディアがジャニーズ事務所に立ち向かっていたら、数百人の子供を年配の小児性愛者の虐待から守れたのではないか──。