5/9(火) 7:03   現代ビジネス
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 話題沸騰中の泉房穂氏の新刊『政治はケンカだ! 明石市長の12年』(聞き手=『朝日新聞政治部』の著者で政治ジャーナリストの鮫島浩)連載もいよいよ第5回。今回は「政党編」をお届けする。泉氏は市長在任12年間のあいだに、特定の政党の支持を受けたことは一度たりともなかった。そんなものがなくても、市民が味方についてくれたら選挙には勝てる、という信念があったからだ。

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 泉氏と古い付き合いがある西村康稔経産相の仰天エピソードも含む読みどころを同書から抜粋してお届けする。

 連載『政治はケンカだ! 』第5回後編

前編記事【なぜいまの自民党議員は小物ばかりなのか…元明石市長と元朝日新聞政治記者が語った「根本原因」】

「お前が人殺しても味方や」
 鮫島 泉さんと明石市民の関係は、田中角栄と地元の支援者の関係にも似ています。

 泉 たしかに4年前の出直し選挙のとき、メディアにも議会にも叩かれまくってる状況でしたが、自分としては心のどこかで「市民はわかってくれてる」という気持ちがあって。フタを開けてみれば、ビックリするくらいの票数で圧勝させてもらえた。角栄さんを熱く語っていたのと同じ熱意が、自分をもう一回市長に戻してくれたんだと思いました。

 鮫島 私にとって印象的だったのは古賀誠さんです。古賀さんも小泉純一郎政権時代の抵抗勢力のドンで、完全なる悪玉と見られていたけど、地元の福岡では圧倒的に選挙が強かった。古賀さんが、「国会議員は人殺し以外どんな罪を暴かれても当選する力がないとダメだ」と言ってました(笑)。この人、何を言い出すんだと思ったけど、地元では絶大な人気があって、これこそが自民党の強みだと感じました。

 泉 私、実は初めて市長選に出たときに、故郷である明石市二見町西二見の幼なじみや近所のオッチャン連中から、「ふさほ、覚えとけよ。ワシらはな、お前が人殺しても味方やからな」と言われました。

 鮫島 殺しても大丈夫なんだ(笑)。

 泉 ビックリして「いやいや、殺しませんから!」言いましたけどね。「お前は明石を捨てんと帰ってきて、ワシらのために立ち上がってくれた。それだけでワシら感動や。だからお前が人殺したって、ワシらは味方やから信じろ」って、ホンマに言われました。

 そういった方々の応援のおかげで私が市長になっても、彼らは何の要求もしません。「お前が明石のため、我が村のために頑張ればそれで十分や」と。「その気持ちがワシらは嬉しいんや」という人たちだったから。本当にありがたかった。

 泉 話を戻すと、小選挙区制の弊害が大きくて、かつての田中角栄や古賀誠のような足腰の強さを感じる政治家が、自民党も激減した。

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