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2023/06/01(木) 06:50:46.41ID:PFBre1Wq北朝鮮の金正恩総書記＝ＡＰ
北朝鮮が31日強行した軍事偵察衛星の打ち上げは、ロケットの不具合で失敗に終わった。偵察衛星の運用は、2021年の朝鮮労働党大会で掲げた国防に関する5カ年計画の重要課題。金正恩キムジョンウン総書記は期限を区切って発射を指示するなど、強いこだわりを見せていた。打ち上げを急がせたことが失敗を招いたとの見方もある。（ソウル・木下大資）
◆「通常は20日かかる準備を数日に短縮」か
「科学者、技術者、専門家らが具体的な原因解明に着手する」。打ち上げから約2時間半後、朝鮮中央通信は異例の速報で、打ち上げ失敗を認める国家宇宙開発局のコメントを報道。新型ロケットのエンジンや燃料に技術的な原因があるとの見方を伝えた。
韓国航空大の張泳根チャンヨングン教授は「十分な地上燃焼実験などを行えなかった結果として、エンジンの燃焼特性が不安定なままとなり、信頼性を保証できないのでは」と推測した。
北朝鮮は昨年12月に「（23年）4月までに軍事偵察衛星1号機の準備を完了する」と表明。正恩氏は4月18日に1号機の完成を宣言し「計画の期日内」の発射を指示した。
韓国の情報機関、国家情報院は5月31日の国会情報委員会で、韓国が25日に国産ロケット「ヌリ号」の3度目の打ち上げに成功したことに北朝鮮が刺激を受け、「通常は20日かかる準備を数日に短縮した」ことも失敗の一因との分析を示した。
技術的な完成度が不十分な状況で打ち上げを急いだ背景には、国内事情もありそうだ。7月27日には北朝鮮が「戦勝節」と位置付ける朝鮮戦争の休戦70周年を迎え、政権としては偵察衛星の保有を成果として誇示したい思惑がある。打ち上げが遅れれば梅雨に入る可能性もあった。
北朝鮮内部と連絡を取る脱北者は、前回16年の衛星打ち上げの様子を「住民たちは『わが国も科学技術が発展して衛星まで発射できるようになった』と自負心を持った」と振り返る。「今回は衛星の写真まで公開して（発射準備を）進めており、成功すれば正恩氏の指導力を実感させる機会になったはずだ」
◆北朝鮮念願の「軍事偵察衛星」だったが
朝鮮中央通信は5月31日の記事で、打ち上げた軍事偵察衛星を「万里鏡マンリギョン1号」と呼んだ。「万里先まで見通す」能力を獲得することで、米軍の空母など戦略兵器の動向を宇宙から監視し、核・ミサイルをより効率的に運用する狙いがうかがわれる。
北朝鮮は、中長期的には複数の軍事偵察衛星を保有する構想を描く。正恩氏は昨年3月、「5カ年計画の期間内に多量の軍事偵察衛星を多角的に配置し、情報収集能力を堅固に構築する」と語っている。
国家宇宙開発局は今回の失敗を踏まえ、対策を早急に講じた上で「可及的速やか」に2度目の打ち上げを断行すると明言した。
韓国の聯合ニュースは、韓国大統領府関係者の見方として、北朝鮮が予告した6月11日までの打ち上げ期間内に、別の衛星を打ち上げる可能性が「十分にある」と伝えた。しかし専門家の間では「ロケットの不具合の原因を特定し、すぐに修正するのは難しい」との意見が強い。
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◆韓国分析「無理な経路変更で技術的な問題の可能性」
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３１日、韓国西部の海上で見つかった北朝鮮のミサイルの一部とみられる残骸（左）＝韓国国防省提供、ＡＰ
