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マイナンバー情報総点検本部の初会合で発言する岸田文雄首相(中央)=6月21日、首相官邸

マイナンバーをめぐる問題で、「マイナンバーカードを返納する動きが急増している」と報じられている。

そもそもマイナンバーカードにはどのような情報が載っているのか。マイナンバーカードを持っていると不安だという人の中には、カードに内蔵されたICチップに、税、年金、病歴などプライバシー性の高い情報も入っていると思い込んでいる人もいるのではないだろうか。

ICチップの中は、カード面に記載されている氏名、住所、生年月日、性別、個人番号(マイナンバー)、本人の写真といった情報と、公的個人認証の電子証明書などだけだ。プライバシー性の高い情報は入っていない。なお、パスワードを一定回数間違えるとカードがロックされ、利用できなくなる。

マイナンバーカードに入っている情報だけでプライバシー性の高い情報を引き出すには、別のサイトに侵入しなければならず、かなり困難だ。また、カードを紛失しないに越したことはないが、銀行のキャッシュカードやクレジットカードと比べると、マイナンバーカードを紛失した場合のほうがはるかにリスクが少ないといえる。

また、最近話題になっている「マイナ保険証」(健康保険証とひも付けられたマイナンバーカード)と従来の保険証を紛失した場合を比較してみよう。マイナ保険証を紛失しても、健康保険証の情報(加入組合、健康保険番号など)は、パスワードがないと分からない。

一方、保険証を紛失すると、健康保険証の情報が取得者にバレてしまい、悪意があれば保険証は偽造されてしまう。偽造された保険証には顔写真がないので、他人がなりすまして使用しても、保険証の紛失情報が医療機関に行き渡らないと、不正利用されたかどうか分からない。この意味で、マイナ保険証のほうが従来の保険証より安全だ。

マイナンバーカードを返納する動きが急増しているというが、共同通信の報道時点では5月以降313件だ。一方、6月末時点で発行されたマイナンバーカードは約9700万枚なので、30万人に1人だ。「数十万の返納」という数字を出すマスコミもあるが、実態は死亡による返納だ。

国民が不安になっている要因として、マイナ保険証のひも付けミスが7000件あったという報道もある。これは1万4000人に1人だ。宝くじで10万円に当たる程度の確率なので、めったにないといえる。

マイナンバーカードがどんな健康保険証の情報にひも付けられているのかは簡単に確認できるので、万が一、不運にもひも付けが間違っていたら、政府はおわびの印としてマイナポイントをあげたらいい。これはネットゲームの世界でよく行われている「わび石」だ。

政府としても、国民自らが自分の情報をチェックするので政府の確認の手間が省けて一石二鳥だ。1万ポイントのおわびでも7000万円程度なので、必要経費の範囲内だ。 (元内閣参事官・嘉悦大教授 高橋洋一)

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