〈中途半端な万博しか出来ないことが判明したら、勇気ある撤退という選択肢も残しておくべきではないか〉──。

 遅々として準備が進まない2025年の大阪・関西万博について、自民党の船田元衆院議員がメルマガにこう記し、話題だ。船田氏は、参加国が独自に造る「タイプA」のパビリオン建設が、建設費高騰や人手不足によって、ほぼ不可能になっていると指摘。〈各国が意匠を凝らした、パビリオンで競い合うことこそ万博の魅力であるのに、今から興醒めしてしまう〉と書いている。

 これに、SNSでは〈良いこと言う!!〉〈自民にもまともな議員がいる事にビックリ!〉といった賛同の声が続々と上がっているのだ。

 一方、万博の“言い出しっぺ”である日本維新の会は船田氏のメルマガにイキリ立っている。東徹参院議員は〈自民党にもこういう国会議員がいることに失望しますね。いくらなんでも『撤退』はないでしょう。無責任過ぎる〉とX(旧ツイッター)で噛みついた。東氏の投稿にはSNSで〈とおるさん 中止あるのみ〉〈実現可能性がないのに『やります、出来ます』言っている人の方が信用ならない〉と批判が殺到している。

「どうせ“窓際”の人でしょ」

 万博を巡っては、パビリオン建設が開幕に間に合わないだけでなく、現状、1850億円の会場建設コストの膨張も懸念されている。船田氏の「撤退論」が喝采を浴びるのは当然だろう。ところが、維新に「聞く耳」はないようだ。ある維新幹部はこう言う。

「船田さんが万博に関する情報を持っているとは思えませんし、どうせ自民党内では“窓際”の人ですよね。維新内で彼の言うことなんか気にしている人はいませんよ。『なんだこいつ』という感じです。まあ、反対したい人は一定数いるものですよ」

 大阪万博の問題に詳しい建築エコノミストの森山高至氏はこう言う。

「パビリオンの建設は開幕に間に合いそうにありませんし、会場の建設コスト膨張も避けられないでしょう。国民の負担増につながる可能性があるわけですから、船田議員が『撤退論』に言及するのも当然だと思います。撤退が現実的でないとするなら、延期を視野に入れるべきです」

 船田氏のような“正論”が他の自民党議員から出ないことが不思議だ。

8/9(水) 16:30配信   日刊ゲンダイDIGITAL
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