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カッパのモデルとも言われているニホンカワウソの剝製(はくせい)=2023年7月6日、兵庫県三田市、森直由撮影

 全国各地で語られてきた妖怪を、自然環境の視点から見つめ直す企画展「妖怪と自然の博物展」が、兵庫県三田市の「県立人と自然の博物館」で開かれている。来年1月8日まで(月曜休館)。

 動物の剝製(はくせい)や標本、パネルなど約80点を並べ、20近くの妖怪を紹介。妖怪が語られてきた背景を解説、考察している。

 たとえば、顔はサル、手足はトラ、尻尾はヘビなどとされる「鵺(ぬえ)」。真夜中に「ヒィー、ヒィー」と甲高い声で鳴き、芦屋市内に鵺の墓と伝えられる「鵺塚」があると紹介している。

 「声の正体は鳥のトラツグミではないか。暗闇の中で鳴き声が響くと怖さを感じ、妖怪『鵺』へ展開していったと考えられる」として、トラツグミの鳴き声が聞けるコーナーも設けた。

 おなじみのカッパのモデルについては、スッポンやサル、カワウソ、オオサンショウウオを挙げ、ニホンカワウソの剝製などを展示している。

 明石市大久保町で「船に何かが乗った感じがするが探しても何もいない」として伝承されてきた海坊主は、正体の候補としてスナメリを挙げた。「水上に現れるスナメリの体が、海中の『坊主のような何か』に見えることもあったと考えられる」と指摘している。

 企画展を担当した研究員の大平和弘さん(37)は「人が自然の中で暮らし、妖怪が生まれた。展示を通して人と自然との共生について考えてもらえたら」と話している。(森直由)

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