4月の県議選前に自身が選挙対策本部長を務めた日本維新の会公認候補(落選)から現金計45万円を受け取ったとして、公職選挙法違反の疑いが指摘されている同党の上野蛍・元富山市議が21日、富山市内で記者会見を開いた。上野氏は現金の要求と違法性を否定し、「候補の後援会活動期間中に、候補側から『どうしても受け取ってほしい』と申し出があった」と述べた。

 記者会見には上野氏と公認候補だった福島陽介氏が出席。福島氏は質疑応答前に退出した。

 2人の説明によると、上野氏は、福島氏が出馬表明した2022年12月から県議選告示(23年3月31日)前までの間、福島氏の後援会活動に協力。福島氏は日頃の活動への「こころざし」(福島氏)として受け取りを求めた。上野氏は当初は断ったが、懇願されたため、受け取ったという。

 福島氏は「上野さんから要求されたことは一度もなく、逆に私から受け取ってくださいとお願いした」と説明。上野氏は「後援会活動なので、事前運動に当たらず公選法に抵触しないことはお分かりいただけると思う」と話した。

 上野氏は県議選後の5月に45万円を返金した。この理由について、上野氏は「元々お断りしている立場で、ボランティアとしてサポートできればと考えていた」と述べた。県議選前の現金の授受が疑念を招くと意識しなかったかとの質問に対しては「疑念を持たれるかどうかではなく、お互いを思いやってそういう形になった」と述べた。

 一方、現金授受の時期や場所、党の調査に対して説明した内容については、「詳細を覚えていないので文書で回答する」などと明言を避けた。

 上野氏を公選法違反で富山地検に告発した上脇博之・神戸学院大教授は「選挙期間外であっても、出馬表明後に候補者が現金を渡す行為は選挙運動での票の取りまとめを期待したと考えるのが自然。金銭の授受があること自体がおかしい」と指摘している。


9/23(土) 18:33  読売新聞オンライン
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