利用率が9割を超えるETCですが、実は過去に「イーテック」という愛称が決まっていました。なぜいまは「イーティーシー」と呼ばれるのでしょうか。

ETCの愛称「イーテック」は一般公募で決まった愛称だった!
 有料道路で料金所をスムーズに通過するのに役立つETCですが、実は過去に「イーテック」という愛称が決まっていました。
 
 では、なぜいまは「イーティーシー」と呼ばれ、この「イーテック」という愛称は普及しなかったのでしょうか。

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実は「ETC」の正式名称は「イーテック」だった?

 有料道路を通行する際には、多くのクルマがETCを利用しています。

 国土交通省のホームページによると、2023年10月時点でETC利用台数は1日あたり約829万台、利用率は94.4%にも上っており、自動車ユーザーに広く浸透しているといえるでしょう。

 またETCは「Electronic Toll Collection System(電子式料金自動収受システム)」の略であり、ETC車載器にクレジットカードを挿入した状態でゲートを通過すれば、無線で情報が交信され自動的に料金が支払われる仕組みです。

 一般的には「イーティーシー」と呼ばれますが、実は過去には「イーテック」という愛称が付けられていました。

 この愛称に関してSNS上では「全然知らなかった。イーテックは初耳!」「クルマのエンジン始動時に『イーティーシーカードが挿入されていません』って言うよね?」など驚きの声が多く寄せられています。

 そもそも、ETCは2001年3月から千葉地区の東関東自動車道や京葉道路、沖縄自動車道など63箇所の料金所で運用が始まり、その後全国に拡大していきました。

 今でこそ広く普及しているETCですが、運用開始当初の2001年4月の利用台数は1日あたりわずか6000台、利用率も1.1%と非常に低調でした。

 そのような状況の中、国土交通省は自動車ユーザーにETCを広め、親しみを持ってもらうという目的で2001年7月、一般の人から愛称を公募する「ETC愛称コンテスト」を開催します。

 愛称候補としては「E-スルー」や「スルースルー」、「パスウェイ」など複数の案があがっていたものの、約7000通の投票の結果、「E-テック(イーテック)」が選ばれました。

 なお、このイーテックには「『ETC』の読み替えを意識し、『E』に『テクノロジー』を感じさせる『テック』を組み合わせる」という意味が込められています。

 当時はSAやPAにイーテックを周知するポスターが貼られていたほか通行料金の割引関係書類に「イーテックと呼んでください」と記載されているなど、国土交通省をはじめ高速道路各社が愛称の浸透を図っていました。

 では、このように積極的に周知していたにもかかわらず、なぜイーテックは普及しなかったのでしょうか。

 ハッキリとした理由は分かっていませんが、過去に国土交通省と関係者が中心となって開催した議会では、「ETCという言葉の表示を変えないままイーテックと読むよう周知した結果、利用者に浸透しなかった」と言及しています。

 つまり、アルファベットの並びが「ETEC」であればイーテックと読めるため違和感なく浸透していた可能性もあるといえるでしょう。

 さらに愛称が普及しなかった理由として、当時はユーザーのETCに対する関心が低かったことが挙げられます。