衆院憲法審査会の幹事懇談会が21日、流会となった。幹事選任の事務手続きを行う今国会初の憲法審の日取りを決める予定だったが、立憲民主党が欠席した。共産党を除く与野党は「立民抜き」の憲法審開催を視野に入れ始めており、自民党の決断に注目が集まる。

「議論しなければならないテーマをほっぽらかして、自分の主張だけ言って審議に応じない姿勢はいかがなものか」。流会決定後、与党筆頭幹事の中谷元氏(自民)は幹事懇を欠席した立民をこう批判した。

昨年の通常国会では3月2日に衆院憲法審が開かれたが、今年はいまだ実現していない。立民が自民派閥のパーティー収入不記載事件の説明不足などを理由に拒んでいるためだ。

野党筆頭幹事の逢坂誠二氏(立民)は、事件に関わった可能性がある議員が憲法審に所属していることを念頭に「法を犯しているかもしれない委員をそのままにして(審査会長の)職権で開催を決めるのは論外だ」と牽制(けんせい)。自民などが目指す28日の憲法審開催は「あり得ない」と拒否した。

もっとも、憲法審は政局と距離を置くという暗黙のルールがあり、与野党幹部からは21日、野党第一党の振る舞いを疑問視する声が相次いだ。

公明党の北側一雄副代表は他の常任委員会などが通常通りに動き出している中、憲法審の開催だけ拒む立民の姿勢に違和感を表明した。

また、日本維新の会の馬場伸幸代表は「2会派(立民と共産)だけがごねて、他会派がそれにお付き合いをしなければいけないのはいじめっ子の世界だ」と語った。

公明重鎮は今後の展開について「憲法審の開催を強行していくしかない」と述べた。改憲に前向きな維新や国民民主党は、改憲を党是に掲げる自民の本気度を疑っており、中谷氏らが「立民外し」を決断するのか否かが焦点となりそうだ。(内藤慎二)

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