0001きつねうどん ★
2024/04/02(火) 15:50:22.36ID:UoEsNphb※本稿は、石井洋介『便を見る力』(イースト・プレス)の一部を再編集したものです。
うんこをタブー視するのは、そろそろやめよう
コレラやペストといった感染症で人が大勢亡くなっていた時代は、うんこは病気の原因となる危険な存在でした。
そこで「うんこは汚いものである」と教育され、排泄後はすぐ下水道に流して手を洗うことが徹底されてきたのです。その結果、うんこは汚いものとしてタブー視されるようになっていきました。
しかし、現在のように感染症に対する医療体制が整った状態で、きちんと管理されていればうんこは危険なものではないのです。
以前、「トイレでスマホをいじると汚くて危ないのか?」という取材を受けたことがあるのですが、結論としては基本的に危なくはありません。
もちろんうんこから飛び出す菌がスマホにつくことがあるかもしれませんが、菌の多くは、皆さんが普段触っている机やPCにも大量についています。世の中には常在菌と呼ばれる菌がたくさん存在していて、この世は思った以上に細菌だらけなのです。
TVドラマ等で白血病の患者さんが無菌ルームといわれる部屋に入っているところを見たことがある方もいると思いますが、常在菌によって感染が起こるほど体が弱っている場合はそうしないと防げません。
ちょっと洗ったり消毒したりする程度では、菌はすぐに増殖し元通りになるのです。超高齢になると常在菌によって肺炎や尿路感染症を起こすこともありますが、自宅を無菌ルームにすることは現実的ではありませんし、それはもう体がこの世界に対応できなくなってきている、天寿が近いことを示すサインなのだと思います。
うんこは「見て、触る」時代へ突入する
もちろん、明らかに感染症を持った患者さんのうんこの場合は別です。たとえば冬場のひどい下痢はノロウイルスに感染している可能性があります。こうしたウイルスは糞便の中に入って感染していくため、トイレをしっかり消毒洗浄し、手洗いも徹底する必要があります。
トイレを流すときには周りにウイルスを撒き散らさないために蓋をしましょう。さらにノロウイルスはアルコール消毒では死なないため、感染している方がトイレでうんこをしたあとは、ハイターのような次亜塩素酸ナトリウムを用いてトイレをしっかり洗う必要があります。
自宅では十分な対応ができると思いますが、公衆トイレなどではどこにどのような菌がついているのかわからないので、素早くトイレを済まして、よく手を洗って出ましょうね(お腹がゆるくてトイレが近い経験を持つ私としては、公衆トイレで用が終わったあとはスマホをいじったりせず、待っている人のためにすぐに出てあげてほしいです)。
こうした例外はありますが、基本的にうんこはそれほど忌避するべき存在ではありません。私たちは、そのことをもっと意識すべきではないかと思います。
なぜなら、大高齢化、大介護時代を迎えようとしている私たちにとって、今後、うんこは「見て、触らなければいけないもの」に変わっていくからです。
介護を始めた人が最初にショックを受けるのは、排便処理によるものだといいます。一方で、前述の通り、多くの人がうんこを見なければいけない時代が到来しようとしています。
私たちはそろそろ「うんこは汚く触れてはいけないものである」という認識を、変えなければいけない時期を迎えているのではないでしょうか。
つづき
https://president.jp/articles/-/79968