文在寅の「盟友」がいま大人気…!
4月10日に国会議員総選挙が行われる韓国で、選挙戦がいよいよ佳境だ。この選挙は、尹政権への国民の評価と共に、2026年の時期大統領選挙の行方を占うものとして与野党共に落とすことができない非常に重要な選挙と位置づけられている。

これまでに尹錫悦(ユン・ソギョル)政権を揺るがすような大型スキャンダルはないものの、かと言って国民からの支持を安定して受けているという状況でもない。だからこそ、与党「国民の力」にとっても気を抜くことのできない選挙戦となっている。また、 与党の「国民の力」、野党の「共に民主党」から袂を分かち、複数の新党が結成されるなど混戦状態だ。

その中で注目を集めているのが「祖国革新党」というチョ・グク氏が率いる新党である。日本のマスコミでも「韓国総選挙の台風の目」などどその存在を報じているほどにいま注目度が高まっている。

チョ・グク氏と言えば、文在寅(ムン・ジェイン)前政権で法務長官に任命されながら、就任直後に自身や家族の不正疑惑が噴出したことで短期間で辞任に追い込まれた。

また、辞任理由となった不正疑惑のうち、子どもの不正入試について有罪判決を受けるなど、運も尽きたかのように見られたものの、昨年、著書を出版。尹政権への批判や自身に有罪判決が下されたことへの恨み節とともに潔白を主張するなど、発言を活発化させていたことから「総選挙に出馬するのではないか」と囁かれていた。

そんなチョ・グク氏の実際の人気の“秘密”は何なのか――。

絵に描いたような「学歴」
韓国では選挙期間中に各有権者世帯に各政党、候補者のマニュフェストの冊子が郵送される、その一つ一つに目を通すと、やはりチョ・グク氏の「祖国革新党」はひときわその存在感を放っている。

チョ・グク氏がこれだけの注目を集める背景の一つには、長身で一見、爽やかそうに見えるルックス、ソウル大学法学部出身で、大学教授や大統領府の秘書官を歴任するなどその絵に描いたような学歴、経歴がある。

また、非常に弁が立つタイプでもあり、韓国政治によくありがちな「一方的、感情的に相手をやり込める」というやり方ではなく、相手を批判しながらも冷静沈着な語り口がスマートな印象をより一層引き立てている。

チョ・グク氏の新党の存在は、尹政権に脅威となることは間違いない。また、左派で野党の「共に民主党」にとってもそれは同じと言えるかもしれない。

現在、「共に民主党」の党首を務める李在明(イ・ジェミョン)氏は、前回の大統領選挙に同党から出馬したものの、尹氏に敗れた。しかし、その李氏にもやはりかねてより様々な不正が常につきまとい、一時は逮捕も確実とまで言われたものの、危うく難を逃れている。

党内からは李氏の党首としての資質を疑問視したり、不信感やこのままでは、今回の総選挙や次回の大統領選挙では勝てないと懸念する声も根強い。身内からの批判にも動じず、党首の座を守る李氏にとって曹国氏は厄介な存在になることは目に見えている。

仮にチョ・グク氏の「祖国革新党」が善戦すれば、「共に民主党」の内部からチョ・グク氏と手を組むことを求める動きが出てもおかしくはないだろうし、さらにはチョ・グク氏を次期大統領選挙候補にというシナリオも「まったくない」とは否定できない。

「反日」で「親北」
チョ・グク氏と言えば、文在寅氏と盟友関係にあり、「反日」、「親北」という姿勢でも共通項が多い。よもや力を持てば、あの悪夢の文在寅時代のように「反日ムーブメント」が再び活発化するリスクも視野に入ってくる。だからこそ、チョ・グク氏が今回、どこまで躍進するのか、今後、政界にどのような影響を及ぼしていくのかは注視すべき点だ。