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毎日新聞 2021/10/20 00:00(最終更新 10/20 00:13) 769文字




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 上皇后美智子さまは20日、87歳の誕生日を迎えられた。新型コロナウイルスの感染状況を踏まえ、外出や来訪者との面会を極力控える生活を続けており、昨年同様に誕生日に伴う行事は行わない。初孫である秋篠宮家の長女眞子さまが今月26日に結婚で皇室を離れることについて側近は「(上皇さまとともに)常に大切にいとおしんでおられた。お別れは寂しいことだと思う」と胸中を推し量った。

 宮内庁によると、昨年5月以降、午後になると体温が上がる症状が続く。この夏には心不全の診断指標となる数値が、2019年に受けた乳がん手術後と同程度まで上がった。手術後のホルモン療法の影響とみられる手指のこわばりも完治していないが、最近は少しずつ趣味のピアノ演奏をしているという。

 住まいの仙洞(せんとう)仮御所(東京都港区)では上皇さまとともに規則正しく生活。朝食後の上皇さまとの本の音読も毎日続け、戦前の物理学者、寺田寅彦の随筆集「柿の種」を一緒に読んでいる。庭の散策も朝夕欠かさないが、立ち止まって息を整えることもあるという。

 この1年は、静岡県熱海市など各地で発生した土砂災害や豪雨被害などを案じつつ、上皇さまや側近との間では東京オリンピック・パラリンピックについてもたびたび話題に。上皇さまとともに開催に尽力した1964年パラ大会をなつかしそうに振り返り、障害者スポーツ発展の礎を築くことに尽くした当時の関係者に感謝していたという。

 美智子さまは眞子さまが子どものころには歌に詠んだり、誕生日に合わせて公表する文書でエピソードを明かしたりすることもあった一方、「結婚については何かをおっしゃることはせず、静かに見守ってこられた」(側近)。「複雑性PTSD(心的外傷後ストレス障害)」と診断されたことに関しては大変心配している様子だったという。【山田奈緒、和田武士】