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毎日新聞 2021/10/23 08:36(最終更新 10/23 08:36) 647文字




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米ホワイトハウスのサキ報道官

 米ホワイトハウスのサキ報道官は22日の記者会見で、米国に台湾防衛義務があるとしたバイデン大統領の21日の発言について「政策の変更を発表したわけでも、政策変更を決めたわけでもない」と述べた。米国は台湾有事の際の軍事介入について意図的に明確にしない「あいまい戦略」をとっており、大統領の踏み込んだ発言から「公式見解」に軌道修正した。

 米国と台湾には正式な外交関係がない。台湾関係法に基づき、台湾の防衛に必要な武器供与などを行っているが、防衛義務は明確化されていない。



 サキ氏は会見で「米国の政策に変更はない。台湾が十分な自衛力を維持できるように支援する。平和的手段以外で台湾の将来を決めようとする行動は西太平洋の平和と安全への脅威とみなす。大統領も含めて、誰も台湾海峡で衝突が起きるような事態は望んでいない」と述べた。バイデン氏の発言について「単なる失言か、政策変更があるかもしれないというシグナルなのか」と問われたが、「政策は変更していない」と述べるにとどめた。

 バイデン氏は21日に参加した住民対話集会で「台湾が攻撃されれば、米国は防衛に向かうのか」と問われ、「そうだ。我々はそうする義務がある」と答えた。8月にも米メディアとのインタビューで、米国には日本や韓国と同様に台湾を防衛する義務もあると発言し、政権幹部が事後に「政策に変更はない」と修正した。バイデン氏が「台湾防衛義務」に繰り返し言及した真意は不明だが、結果的に台湾への圧力を強める中国へのけん制になっている。【ワシントン秋山信一】