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毎日新聞 2021/10/23 08:53(最終更新 10/23 08:53) 714文字




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北海道警察本部=貝塚太一撮影

 もしもの時に役立つが、費用が……。ドライブレコーダーの設置に関する北海道警のアンケートで市民のこんな懐事情が浮かんだ。

 道警は6月、道内の運転免許試験場6カ所で免許証更新に訪れた19〜69歳にアンケートし、1289人から回答(回答率99・69%)を得た。ドラレコを設置している人は約44%にとどまり、約56%が未設置。未設置と答えた人の約25%が「コスト(費用)」を理由に挙げたが、「設置を検討中」の人も約36%おり、費用面のハードルが下がれば普及が進む可能性を示唆した。



 国土交通省の調査によると、あおり運転が社会問題化した2019年の地方別設置率で、北海道は、全国トップの近畿(約58%)より約20ポイントも低い約38%。関西などに比べて大きな注目を集めるあおり運転が少なく、道道民生活課の担当者は普及率が低い一因に他地域との「危機意識の違い」を挙げた。

 警察庁によると、あおり運転を妨害運転罪とする改正道路交通法が施行された20年6月からの1年間で全国では妨害運転の摘発が100件あり、このうち93件でドラレコの映像が捜査に活用された。重要な「証拠」となるが、自動車用品店では1台5000円〜5万円台で、360度を高画質で記録できるなど性能が高いほど高額だ。



 民間ではドラレコを貸し出す自動車保険もあり、道外では購入費用を補助する自治体もある。しかし、同課の担当者は「道内での例は聞いたことがない」とし、財源不足を理由に道独自の助成の可能性を否定する。

 道警交通部の箱崎和好管理官は「費用がかかり、プライバシーを気にする方もいるが、あおり運転の抑止効果や捜査での活用も期待できる。普及が進んでほしい」と話す。【谷口拓未】