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毎日新聞 2021/10/25 16:00(最終更新 10/25 16:00) 有料記事 1977文字




 秋篠宮家の長女眞子さまが大学時代の同級生、小室圭さんと26日に結婚される。宮内庁の結婚延期発表から3年8カ月あまり。この間、小室家の金銭トラブルなどを巡って週刊誌を中心に報道は過熱し、眞子さまは心に深い傷を負う結果となった。一連の経緯から浮かび上がる今の時代の皇室像や今後の皇室の在り方について、メディア史、歴史社会学の研究者である森暢平・成城大学教授に話を聞いた。【聞き手・山田奈緒】

 秋篠宮家の長女眞子さまと小室圭さんの結婚をめぐってはさまざまな意見が出て、国民が一つの皇室像を共有する時代は終わったと感じている。反対する声の盛り上がり方は異常だった。ただ、真剣に皇室について考え、尊敬しているからこその懸念も含まれていたとは思う。意見が分断されていたからこそ、対話や議論が重要だが、現状、お互いが非難しあう状態が続いている。

 日本国憲法は天皇を、国民を統合する存在と規定した。私は、天皇制が国民国家としての日本を統合する機能は明治以降の特徴であったと考える。そこでは、皇室が国民の「家族」のモデルであるという認識が共有されていた。しかし、21世紀になって家族の形は多様化している。SNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)に象徴されるように、それぞれが、全く異なる方向の意見を持つ時代になった。個人の発信がうねりのように分断を広げることもある。皇室問題でも同様で、…

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