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毎日新聞 2021/10/25 21:39(最終更新 10/25 22:32) 821文字




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20年前の殺人事件について、容疑者逮捕を発表する上新宏一・広島県警刑事部長(中央)ら=広島県福山市で2021年10月25日午後8時4分、関東晋慈撮影

 広島県福山市で2001年、主婦が自宅で刺殺された事件で、県警は25日、無職の竹森幸三容疑者(67)=福山市西新涯町1=を殺人容疑で逮捕した。現場に残された遺留物から竹森容疑者の関与が浮上したという。2人は面識がなかったとみられ、県警は動機などを詳しく調べる。

 逮捕容疑は01年2月6日午後0時45分ごろ、同市明王台5の民家で、大石朝美さん(当時35歳)の腹部を果物ナイフ(刃渡り約10センチ)で突き刺すなどして殺害したとしている。「記憶にない」と容疑を否認している。



 県警によると、大石さんが自ら警報装置を作動させ、警備会社の通報で警察官が駆けつけた。大石さんは1階と2階の間にある階段で倒れており、間もなく死亡が確認された。部屋着姿で腹部にナイフが刺さっていた。夫は外出中で、1階居間にいた長女(当時9カ月)は無事だった。室内が物色された形跡はなく、容疑者のものとみられるテニスシューズの跡が残っていたという。

 21年10月上旬、竹森容疑者の関与が浮上。25日に任意同行を求めたところ、素直に応じたという。事件当時は福山市内で造園業を営んでいたとみられ、県警は大石さんとの接点について調べる。



 県警は25日夜、福山西署で記者会見。上新宏一刑事部長は「発生当初から有力な手がかりが得られず捜査が長期化したが、情報提供をいただき、感謝申し上げる」と述べた。

 県警は事件後の約20年間で延べ約18万人の捜査員を投入。テニスシューズや凶器のナイフと同型の写真を公開し、162件の情報が寄せられた。発生当時、殺人罪の時効は15年だったが、10年4月の刑事訴訟法改正で時効が撤廃された。



 現場近くに住む主婦(66)は「事件を忘れかけていたので、逮捕のニュースを聞いて驚いた」。店舗の従業員の男性(28)は「最近は捜査の動きがなく、事件は迷宮入りすると思っていた。年月はかかったが、容疑者が逮捕されてよかった」と話した。【中島昭浩、関東晋慈、渕脇直樹】