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2021年10月26日07時09分

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新潟県聖籠町立聖籠中学校の敷地内に設けられた住民の交流施設(聖籠町提供)




 文部科学省は、老朽化した公立学校の改修に合わせて、同じ建物に図書館や福祉施設といった公共施設を集約する自治体への財政支援を拡充する検討に入った。早ければ2022年度にも、改修費に対する補助率を現行の3分の1から2分の1に引き上げる方向だ。学校を含めた地域の施設を長持ちさせるとともに、自治体の財政負担軽減につながる集約化を後押しする。


 公立小中学校の多くは第2次ベビーブーム世代(1971〜74年生まれ)を受け入れるために建設された。文科省の調査によると、2019年度に公立小中高校や都道府県・市町村教育委員会が支出した地方教育費は計16兆3848億円となり、前年度から増加。学校改修のほか、公民館や図書館などの整備費用が増えたことが主な要因で、公共施設全体の維持管理が課題となっている。
 学校と他の公共施設との複合化・集約化は、既に各地で行われている。具体例としては、小学校と地域住民が使用できる会議室・ホール(福岡県嘉麻市立下山田小学校)、中学校と住民同士の交流施設(新潟県聖籠町立聖籠中学校)などがある。
 今後は校舎の老朽化対策のほか、新型コロナウイルスを踏まえ、オンライン授業に対応した設備を設けたり、児童生徒の密集を避けたりするための改修も増えると予想される。このため、文科省は集約化を条件に補助率を引き上げることで、自治体による積極的な取り組みを支援したい考えだ。補助の要件や対象経費など制度の詳細について、さらに検討を進める。