https://mainichi.jp/articles/20211101/k00/00m/040/280000c

毎日新聞 2021/11/1 19:37(最終更新 11/1 19:37) 682文字




https://cdn.mainichi.jp/vol1/2021/11/01/20211101k0000m040283000p/9.jpg
新型コロナウイルスの飲み薬開発の現状について説明する塩野義製薬の手代木功社長(左から3人目)=東京都千代田区丸の内で2021年11月1日午後3時20分、横田愛撮影

 塩野義製薬の手代木功社長は1日の決算説明会で、新型コロナウイルス感染症の軽症者向け飲み薬の最終段階の臨床試験(治験)の実施先について、11月から、韓国、シンガポール、ベトナム、英国にも拡大する方針を明らかにした。国内の感染者数の減少で治験の参加者集めが難しくなっているのを受けた対応で、手代木氏は「できる限り年内の(薬事)承認申請は崩さずに進めていく」と述べた。

 塩野義は9月末から国内で最終段階の治験を始めた。軽症と無症状の患者約2100人の参加を見込んでいたが、手代木氏は「感染(者数)の著しい減少に伴い、わが国だけで数千例集めるのは難しい」と説明。海外でも治験を実施し、国内外のデータを基に厚生労働省に承認申請する方針に切り替えた。現在の感染状況が年末まで続いた場合は、治験対象者のうち国内が1割、海外が9割程度になる可能性があるとする。治験実施国での承認申請も検討する。



 米メルクが10月、対象者800人弱の中間結果を基に米食品医薬品局(FDA)に緊急使用許可(EUA)を申請したことを踏まえ、塩野義もまず同規模の症例数が集まった段階での承認申請を想定する。

 また、開発中の新型コロナのワクチンについて、11月からベトナムなどアジアで、本物のワクチン候補と偽薬を投与する二つのグループに分けて接種後の発症の有無を比較する最終段階の治験を始めるとした。各国で接種が進み偽薬を含めた治験は実施が難しくなりつつあるが、手代木氏は「次のパンデミック(世界的大流行)を考え(偽薬と対照した治験を)国としてやれる能力を持つことは非常に重要」と意義を語った。【横田愛】