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毎日新聞 2021/11/3 12:31(最終更新 11/3 12:33) 619文字




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ジョージ・フロイドさんが亡くなった現場近くの壁に描かれたフロイドさんの似顔絵=米中西部ミネソタ州ミネアポリスで2021年5月21日、隅俊之撮影

 昨年5月に白人警察官による黒人男性暴行死事件が起きた米中西部ミネソタ州ミネアポリス市で2日、警察組織の廃止の是非を問う住民投票が行われ、否決された。米メディアが伝えた。事件後、黒人への差別意識が暴力の根底にあるとして「警察解体」の要求が全米各地のデモで強まったが、治安悪化を懸念する声が根強く、反対が過半数を占めた。

 否決されたのは、現在は市長が独占的な権限を握る警察組織を廃止し、別の公共安全局を新設するとする市憲章の改正案。警察官の最低人数の規定をなくすとしており、約2万人の賛同署名が集まった。具体的な内容は条例で定めるが、市議会が任命する局長をトップに就けることで、市議会による監督を強める狙いがあった。



 ただ、AP通信によると、ミネアポリスでは今年、犯罪率が上昇して殺人事件も約80件に上り、97件の殺人事件が起きて「マーダー(殺人)アポリス」と呼ばれた1995年に近づくなど治安が悪化。「警察のあり方を変える必要はあるが、解体は危険」との指摘が出ていた。フレイ市長や市警トップで黒人のアラドンド本部長も反対していた。

 ミネアポリス市では昨年5月、黒人男性のジョージ・フロイドさん(当時46歳)が白人警察官に取り押さえられた際に膝で9分29秒にわたって首を押さえつけられ、死亡した。事件をきっかけに、警察官の暴力や黒人差別に反対する「ブラック・ライブズ・マター(黒人の命は大事だ)」運動が全米に広がった。【ニューヨーク隅俊之】